第6話:尋問
私の目の前には、王都警備隊の捜査官がいます。
先程から色々と聞いてきますが、私は知らぬ存ぜぬを貫いています。
実際問題、私は何の呪文も詠唱もしていませんし、魔法陣も展開していません。
攻撃するための事前準備を全くしていないのです。
これで私が攻撃したと罪に問う事など不可能です。
バッーン!
「いい加減に白状しろ、他の生徒から、お前がやったという証言が出ているんだ!
これ以上強情を張って否認すれば、罪状が増えて刑が重くなるぞ!」
くっくっくっくっ、ついに言わせましたよ。
他の生徒が私はやったと偽証した事を。
これで次に地獄を見せる相手が決まりましたね、誰かは分かりませんが、それは誰でもいいのですよ。
生徒が偽証した以上、それを否定する証言を誰かがするまでは、毒蟲に内臓を食い散らかさせて、激痛地獄を味合わせて差し上げましょう。
「ほう、どなたが私がやったなどと偽証したのです?
大方王太子殿下を誑かして、この国を乗っ取ろうとしている毒婦ですか?
捜査官殿も、毒婦やその父親から賄賂でも貰いましたか?」
「何だとこのクソガキが!」
図星を刺されたのでしょう、年嵩の方の捜査員が激高して私につかみかかりましたが、結果は狐と同じです。
私につかみかかろうとした腕が、ひき肉のように潰されて尋問室に飛び散ります。
尋問相手が暴れた時のためでしょう、捜査員は防御魔法を展開していたようですが、捜査員程度の防御魔法など紙も同然です。
「ウッギャアァアア、ウガ、ガ、ギャアァアア」
「「ウッワァアアアアアアアア」」
年嵩の捜査員が、両腕を失って地をのたうち泣き喚いています。
若い方の捜査員と調書をかいているモノが、男とは思えない情けない悲鳴を上げて、その場で腰を抜かしています。
彼らの防御魔法の周りは、血と肉片がべったりとついています。
この辺は教室での光景と同じですが、中で腰を抜かしている捜査員と調書係の方が、生徒よりも小心者だったようです。
魂が抜けたようにうつろな症状を浮かべていますから、正気を失ったのでしょう。
さて、これはどうしたものでしょうか?
教室と同じ現象をここで起こしてしまった以上、他人に罪を擦り付ける事も、とぼける事もできませんから、正当防衛で押し通すしかありませんね。
この三人は、エリル侯爵べドワン卿とルレリアから賄賂をもらって、私を殺そうとした事にしましょう。
殺そうとしたのは、御姉様を虐めて正気を失わせ、王妃の座を手に入れて王国を乗っ取ろうとした事にすれば、時間稼ぎくらいはできます。
毒蟲によって激痛を与えられた連中の中には、助かるためにルレリアを売る者がでてくるでしょう。
まあ、何をしようが御姉様を虐めた者は絶対に許しませんけどね。
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