34話
俺は人柱をすることにした。
イヤ何、ちょっとスレに情報を突っ込んだ後は何というか……ゲームをしたくなるものだ。この先ゴミ共の人柱対象範囲はより大きく……
早速ブラウザを立ち上げてWikiへGo、「人柱募集」ページを見る……アレ?俺は首を傾げ、
その時。
俺は見つけた……色彩の川の中にただ一つ、
『みんなで!わくわくクッキング』。
◆
俺は後悔した。
イヤ、冷静に考えて
……よくVRゲームの起動を「
◆
ログインしてすぐ覚える
A:直方体(テーブル?)
B:Aの上に置かれた直方体(まな板?)
C:Bに添えられた形容しがたい何か(包丁?)
D:Bの上に置かれた円柱(きゅうり?いやにんじんである可能性もある)
E:壁と天井と床(壁と天井と床)
こんなところだな。俺は頭を抱えた。イヤあの……こう……もういいや。ちょっと一度ログアウトしよ……俺は若干頭を冷やすためにメニューを開いたがログアウトボタンが無かったのでビビった。何だとッ!?!??慌てて再び周囲を見回す。アタリを引いたことに対する驚愕と歓喜で高鳴ったバーチャル心臓がうるさく鳴る。しかしそれに反して、部屋はどこまでも静寂と殺風景に包まれて……豪華な衣装のGMもプレイ開始3時間くらいで死ぬマスコットキャラも解説ウィンドウも出てこない。要するに
『えーっと、全員聞こえるようなので……告知させていただきます!えー、この度このゲーム―――「みんなで!わくわくクッキング」は、デスゲームと化しました!』
『あの、攻略しないとログアウトできないですし、特定の条件を揃えると死にます!ご注意ください!』
っつーかサァ……俺はストレスを覚えた。【白い部屋】モデルでわざわざアナウンス方式で告知を行う必要あります?っつー話なんだよな。告知ウィンドウでいいじゃんという。基本的にウィンドウとアナウンスの関係性は、ちょうど現実世界の新聞とラジオのそれに近い……情報を得るにあたっての
『……あっ、コメントありがとうございます!えーっと……「金返せ」ですか。はい、返金は受け付けておりません!』
チッ……俺は二度目の舌打ちをした。とりあえずコメント欄とやらを開いて「デスゲームが終わった後も遊べますか?」と書き込む。返金できねーならせめて永遠に遊びたいからな……
『次のコメント!えーっと……「デスゲームが終わった後も遊べますか?」。えーと、次のコメント!』
待てやゴラァ!!!!!俺はキレた。はぐらかすなよそこで!!!!!はぐらかすくらいならまだ否定した方がマシでしょ!!!!否定してそれで素直に謝っとけばいいんだよ!!!!俺はその旨を思考入力でコメント欄に書き込んで投稿しようとしたら「制限文字数は400です」とアラートを出されたので『だろう』を『だろ』にするとか句読点を削るとかの涙ぐましい努力でどうにか400字ピッタで投稿し、そして8秒後に報告を受けて削除された。ハァ…………溜息を吐く。消費者意識に極めて欠けたGMは、俺の存在を一切スルーしてコメントを読む。
『えー、次のコメント……「クリア条件は?」ですか』
……そういえば何だろう?俺は断固として戦う意思を持つことに頭がいっぱいだったが、冷静に考えてソコも地味に謎だ……このゲームはクッキングシミュレーターなのにそれをデスゲームにしてる時点で既に謎だが、まあ
『はい。言い忘れていましたが、クリア条件は―――
はい?
『考えたんですよ……あなた方は、折角デスゲームを用意しても全然死んでくれない……じゃあ逆にすればいいんだって。このゲームにおいて
……アナウンス式にしたのはこれがやりたかったからか。一つの
『ハハハハハ……最後のコメントを読みますよ。「どうしてそんな回りくどい事を」ォ~~~???簡単な話じゃないですかぁ。クッキングシミュレーター……と言うか物理演算ゲーって、要するに
……ふとテーブル?の上に目を向けた。まな板?やきゅうり?……何より、右手に握った包丁?は、チープなポリゴンを崩さずに―――物理演算だけを上等にして、そこに無造作に配置されていた。
『―――
…………こんな装備で、
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