30話

広場を歩いていたら仮GMを発見した。オイオイ、この間はよくも俺にデスゲーム・ギフトを送ってくれたなァ……!!!突撃ィーーーッ!!!しかしなんかメチャクチャしょぼくれてる感じだったのでやめた。な、何があったんだ……???周りの奴らはみんなデスゲーム開始1ヶ月・・・・誰も死ななかった祭でどんちゃんやってるし、月は綺麗ハイポリで屋台も並んでるのに……あ、わたあめ下さい。わたあめは無い?じゃあかき氷。かき氷も無い?仕方ないな……だったら焼き鳥で。これは流石にあるでしょ……無い?????ナゼ??????いやこのゲームのダンジョンって確か鳥モンスター出ますよね????いや俺はダンジョンに入ったことないけどトレーラーで見たもん……え、素材がマーケットに出回ってない?あのものすごく序盤の雑魚感がある鳥すら誰も倒していない!?!??!そ、そんな筈は無い……そうだ、このゲームはあくまでも元々運営されていたMMOをデスゲーム化したものだ、だったらインベントリに雑素材として入ってるのがある筈でしょ!!!!!腐った?クソがっ、10/10はめんどくさいぜ……あーもう仕方ない、じゃあ水下さい水、えっ水も無い????????????????????????????ナゼ????????????????????????????????逆に何ならあるの???????????????????????????????

俺がその辺の屋台の人とバトっていると、


「……あの」


背後から呼びかけられた。はーい……振り向くと仮GMだった。オッ話し掛けるのが面倒だったからそっちから来てくれてありがたいぜ……あっすんませんこの後予定あるんで~~~~俺はバトルを手早く回線切断し、仮GMと連れ立って歩くことにした。


「す、すみません……」


早々、仮GMが言ってくる……何よ。


「その、デスゲームに巻き込んでしまって……」


イイって事よ。俺はとりあえず答えつつ🤔【システムエラー:誤変換】考える、フム……なぜ仮GMは自責の念を覚えている?俺の予想では……何だっけ?1か月も経つと色々忘れちまうな……あーそうそう、俺の予想では仮GMからゲームが送られてきたその日にデスゲームが始まったのは明らかに関連性がある・・・・・・ってコトだったが……冷静に考えて、このゲームは定期的にデスゲーム化してるハズだからそこをたまたま引き当てた可能性も普通にあるんだよな。いやアレ?これひょっとしてわざとではない?あ~~~~ギフトを送ったのにデスゲームに誤巻き込みしちゃったから謝罪してるわけか。な~~にイイって事よ、俺は同じことを二回言った。やっべ……慌てて話の方向を変える。ちなみにどうしてギフトを送ったんだ?


「……ゲームマスターの方から、ギフトキーを頂きまして……送らないのも何だなと思い、唯一のフレンドの貴方に」


……なるほど、関連性・・・を作ってるのは仮GMじゃなくて断定GMだった訳か。荒らし・・・にギフト送ったっていうバトルロワイアル型のGMも多分同じような感じだな、あいつめ……何を企んでる?今度飲むときに聞いてみようかなぁ。


「……それで、送ってから1日経って……一緒に遊んだりできるかなってログインしたら、ログアウトボタンも消えてて……」


1日……この世界は30倍速・・・・だから、ゲーム内では30日で1か月か……なるほどなあ。

イヤ待てよ?俺は違和感を覚えた。


「どうしたんですか?」


仮GMが聞く。いや何ちょっとね……途中ログイン・・・・・・ができる・・・・だと?それはその、齟齬・・を生み出さないか?いや例えばの話だ、仮に現実時間で80年分ずっと運用されてる記憶消去型デスゲームがあったとして……そこに新規プレイヤーが入ってきて30秒くらいでゲームをクリアしたらどうなる?新規プレイヤーの記憶は30秒程度捏造されるだけで済むが、古参の記憶は……80年に及ぶ。これは明らかに齟齬の原因になりうる仕様だ、利用しない手はない―――それに、80年の差もそこからさらに1億年経ったら無意味なそれと化してしまう。早めにやる必要がありそうだな……よォし!!!!


俺は立ち上がった。


デスゲームを、攻略、するぞーーーっ!!!!!!!



幽閉されている。


イヤさ、何がいけなかったんだろうな……往来で叫んだからか、それとも叫んだ内容か?まあ多分両方だ。なんかこう……いつの間にか発足してた異端審問会の人たちがさ、「貴様には国家反逆罪の疑いがある」とか言ってきて、知らんがなと言う。そもそもいつの間にこのゲームにはの概念ができたんだ……???まあとにかく、「デスゲームを攻略しようぜって言って何が悪いんだよ!」っつー極めて真っ当な自己弁護も棄却されてェ。でなし崩し的に東国【システムエラー:誤変換】投獄っていう。人間をなし崩し的に投獄するなよ……まァ仕方ねーな。俺は諦めた。いざとなれば集団管理型デスゲームで培った脱獄テクもあるし、寝っ転がってればそのうち終わるだろう……俺は伸びをしながらふと横の牢を見た……そしたら鉄格子の先になぜか荒らし・・・がいたのでビビった。エッ??????何でここにいるのお前。10~20日くらい前からなんか見ねーなーとは思ってたけども。死ななかった祭のことを考えるに誰も死んでないみたいだし、裏でプレイヤー全員殺戮計画でも練ってるのかと思ってたが……まさか投獄されてたとはな。元気だったァ~~~???


「…………」


おーい。


「……………………」


……人格がちょっとヤバい感じか?記憶消去型である意味良かったな……俺が肩を叩いて(届かない)励ましていると、


「エウレカァッ!!!!!!」


叫んだ。こいつはもうダメだ……俺はむせび泣いた。あまりにも哀れだぜ。


「なァ~~~~にがもうダメだだよ生きとるわボケェ!!!」


なーんだ【システムエラー:構文異常】


「何してたか、だと……?何というか部屋だ、部屋にいた。机と椅子だけの部屋で延々と物を考えてたんだ」


何か見覚えがある気がするな……俺は何か見覚えがある気がしたが思い出せなかったので黙った。


「それよりだ!いいかよく聞け――――VRっつーメディアの真の目的は記憶・・だ!デスゲームも、いつもの・・・・すらも通過点でしかない!あいつらが求めてるのは常にそうだ―――思考、回想、そして走馬灯!」


やっぱダメかもだわ。


「うるせえ!!!そう、そうだ……想起リコール・クロール巡察・パトロール与太話じゃなかった・・・・・・・・・!!!ずっと俺達を見ていたんだ……そして、ログとして保存している……多分、一人称の小説みたいな文体で!!!」


ほう……ごめんちょっと待って?荒らしにタンマを掛ける。どうやら新入り・・・のようだぜ……2人がかりで運び込まれた特に特徴の無い外見デフォアバの男は、投げ出された冷たい床を恨めしげに見つめていた。


「……もういい?それでだな……多分、【システムエラー:原因不明】から、そのログ保存システムにはエラーが蓄積されていると考えられる……お前らの理念、デスゲームは平等じゃない、だったか……」


「おい荒らし、待て」


「何よ」


「お前のご高説はいいが―――その前にアレだ、アネクドートやろうアネクドート……"刑務所の中の3人の男"ってヤツね。ちょうど俺とお前とこの人で3人だ……チャンスは今しかない、やろうぜ」


「分かったぜ……まず俺は、デスゲームなんてクリアしなくていいじゃないかと言ったらブチ込まれた」荒らしが言う。初手矛盾だ、イイ感じに皮肉が【システムエラー:原因不明】


「俺は、デスゲームをみんなでクリアしようと言ったらブチ込まれた」俺が言う。さあ新入り氏、早速で悪いが身の上話を一つ頼むぜ……!!!


「……私は」床への興味が失せたかあるいは天井への興味が芽生えたか、新入り氏は顔を上げて言った。何が来る……???期待に俺の胸は高鳴る。荒らしの胸も多分高鳴ってると思う……イヤ高鳴ってる、俺は断定した。

臨界点に達した期待の中、新入り氏は満を持して放つ―――


「異端審問会の、会長をやっていた」


その時【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】【システムエラー:原因不明】






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