君といた季節
夏。
流星群がやって来る。
今日は満月まであと数日だよ。
明るい月の光が地上にさす。
都会じゃこの日は月明かりに邪魔されて、見える流れ星の数は期待できなさそうだ。
まさか君と別れるなんて思わなかった。
二年前の付き合ったばかりの僕たちは流星群を一緒に見ていた。
去年だって一緒に長野県の村に泊まって、星が降るのを二人で寄り添い眺めていたよね。
『日本一星空が綺麗に見える村って言われる場所にね、貴方と行きたいなあ』
そういったのは君だった。
大好きな君にそんな事を言われて僕は嬉しくて仕方がなかったんだ。
『私は貴方といても、もうときめかないの』
そんな理由かよ。
君に別れを告げられるなんて、思ってもみなかった。
僕が君に
好きな奴が出来ていてくれていたなら。
いっそこっぴどく裏切ってくれ。
君をキライになりたいから。
その方が僕には良かったのに。
君との恋にキッパリと諦めがつくだろう?
僕に君は飽きたんだ。
君には僕がつまらない男だったんだ。
僕は君を忘れたい。
なにかも、忘れてしまいたい。
僕と君が付き合ったのは七月だったね。
君の誕生日は八月で。
僕たちが別れたのも八月だ。
夏が大ッキライになった。
君のこともキライになりたい。
僕は君を大ッキライになりたい。
旅行は君が言い出したのに。
また二人で流星群を見ようって。
予約した宿に一人ぼっち。
僕の隣りに君がいない。
満天の星空に飲みこまれそうになりながら……僕は一人きりで流星群を見る。
そんな虚しさに耐えきれなかったけど。
今年のペルセウス座流星群を待つ。
星のあまり瞬かない夜空の下で、家のベランダからただ一人見上げるよりも、きっとここに来て良かった。
切ないけれど、この
僕は君をきっと
了
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