激闘の終結


 廊下を全速力で走る。角を曲がり、走る。壁をキックして速度を落とさずに走る。時折り振り返って、追跡者を確認して走る。


 あの怪物の気配がなくなるなり、ダンディはすぐに近場の部屋の中へ転がり込んだ。

 

 現在『火薬工房』が発行している魔導砲は、短砲と長砲の2種類があるが、両方とも中折れ式というクセがある。


 メリットは、バレルにかなり大きい強力な弾を込められる事だ。

 デメリットは、弾倉式の短砲のように連射できず、リロードには時間が掛かる事だ。


 とはいえ、大きな怪物を狩る場合には、必然と強力な弾の使用が求められる為、単発砲を使うほかない。


 ダンディは、すぐに薬莢を抜いて、新しい魔導弾を込めた。こちらは先ほどより倍近くおおきい66mmの魔導弾だ。殺す為の弾である。


 部屋の外を重たい足音が通り過ぎていく。


 ダンディは、息を殺して、気配を断ち、怪物が通り過ぎるのを待つ。


 足音が小さくなっていく。


「──ハドソン、悪い報告だ。例の学会の人造人間、頭部への射撃でかすり傷しかつかねえ」

「──弾は?」

「──33mmだ」

「──66mmで試せ、ダンディ。こっちも黒い妙なモンスターに追われてる」

「──黒いモンスター?」

「──影のような奴がすこしずつだが、距離を詰めて来てる」

「──情報にない奴だ……大丈夫かい、そいつあ」

「──大丈夫ではないが、なんとかする。すまんが、話してる余裕がなくなってきた」


 ハドソンはそう言い、念信を切った。


 相棒は相棒で何とかする。ダンディはそう信じる事にした。


「さて、殺るかい」


 隠れていた部屋を飛び出す。

 ダンディへ気配の遠ざかるほうへ短砲を構えた。


 15mほど離れた先にあの人造人間がいた。


 引き金を引いた。


 同時に、膨大な魔力を魔導弾に込めて、弾芯のダイヤモンドを″共鳴状態″にする。


 さらに、火の魔力で、短砲の撃鉄と火薬が起こす、燃焼エネルギーを数十倍に増幅させた。


 ダイヤモンドが怪物の後頭部へ命中する。

 ガギンッ! と重たい金属同士がぶつかったような音があたりに響き渡った。


 人造人間の頭部から少なくない出血していたかし、青い血は空気触れるなり、凝固していき、固まってしまう。


 人造人間は、直立不動の姿勢のまま、ゆっくりとダンディへと振りかえった。


「効いてねえのかよ」


 ダンディは咄嗟の判断で、土属性式魔術をつかった。自身と人造人間のあいだに8枚の岩壁を作り出して、廊下をいっきに厳戒封鎖する。


 人造人間は前進と、大胸筋の厚みを武器に、すべての岩壁を圧力で破壊して接近してくる。


 その間に、リロードを終えたダンディ、最後の岩壁を突破してきた人造人間の顔面へ、砲口をむけた。


 手を伸ばしてくる、人造人間。


 ダンディは身をひるがして避けて、バク宙と同時に、人造人間の顔を1mの距離から撃った。


 見事命中、火花が散り、金属音が響く。


 人造人間の眉間に穴が空いた。

 青い血がブシャっと噴出する。

 しかし、巨大はのけぞっただけだった。


「冗談じやあねえな……」


 ダンディは人造人間への認識を改める。

 

 これは人造人間で間違いない。ただし、人を目指して作られたというよりかは、″無理矢理、人間の形になっている″別の強大な生物だ。


 一人では倒せない。

 ダンディは静かに魔導短砲に組み込まれている魔力触媒に「二重詠唱──《火炎弾》」とささやく。


 弾の入っていない短砲から炎が飛び出した。


 炎を牽制に使いながら、再びダンディは背を向けて走り出した。


 やがて、立ち止まり、ダンディは振り返る。

 人造人間は素直に追いかけて来ていた。


「いいぞお、そのままこい」


 巨大がダンディへ接近し、その太い足が廊下踏みしめる。すると、その瞬間、ピンッ、と音を立てて、なにかが切れた。


 細いワイヤーだった。

 廊下の、それも見えにくい足元に張られていたらしい。


 ダンディはつぶやく「ぶっ飛びな」


 人造人間の左右の壁に赤い魔法陣が現れた。

 両サイドから爆炎と、鉱石の砂利が、勢いよく襲いかかり、廊下を処刑場に変えた。


 ダンディは短砲をリロードして、再び66mmで狙いをつけておく。

 

 爆発がおさまり、直立したままの巨大な影が見える。速攻で引き金を引いて頭部を弾いた。


「効果は薄いか……」


 のげそっても、すぐに直立姿勢に戻り、平気な顔する人造人間に、ダンディは苦笑いをするしかない。


 人造人間が再びダンディに近づく。

 すると、2歩も歩かないうちに、今度は床に赤い魔法陣が現れて、爆炎を巻き起こした。


 さらに、ダンディはそこへ懐から取り出した魔術の込められた水晶を起動して、投げ込む。


 知り合いの詠唱者に頼んで、水晶内に封じ込めてもらった風属性四式魔術天空波だ。


 《天空波》は街一つの空に漂うすべてを風を束ねて、超強力な螺旋状の乱気流を起こす、極めて難易度の高い風魔術だ。


 ダンディにとって、現状の装備のなかで人造人間を唯一殺せる可能性があった。


 風がうねり、巻き、引き裂く。


 人造人間の身体が風で増幅された炎と、万物を削り取る大気の暴力に飲み込まれていく。


 ダンディは、喉をごくりと鳴らして見守る。


 風魔術の暴力がおさまった。


 そこには、黒革のトレンチコートを残風にたなびかせる巨漢が立っていた。


 皮膚は多少荒れているが、目立った外傷は見受けられない。どちらかと言うと短砲で傷つけた箇所の方がダメージが入っている。


「だよな」


 ダンディは知っていた風につぶやく。

 はなから期待はしていなかった。

 もしかしたら、炎や風が弱点属性かもしれない、とちょっと希望していただけだ。


 人造人間が、再びダンディへ手を伸ばす。


 戦いを諦めたのか、ダンディは動かない。


「俺たち2人のデートはここでしまいだぜ。ここからはもっと英雄らしい奴に相手してもらおう」


 直後、ダンディの背後から一瞬で、旋風が通り抜けたり。否、それは人だった。


 姿を残さない、その神速の者は、登場するなり、人造人間へ一撃を加えて、足を止めた。


 人造人間のトレンチコートが、薄く斬られていた。


「クールなモンスターだね」


 颯爽と現れた冷めた眼差しをもつ青年。

 DDDの『黒剣』プラックトップだった。


 彼は剣についた青い血を斬り払い「相当に硬いな」と、静かにつぶやく。


「隙ありだぜぇえ!」


 ふたたびの闖入者の声が聞こえた。


 突っ込んでくるのチクチク黄髪は、DDDのジャーキーだ。

 彼は毒々しい腕で、人造人間の顔を殴りつけた。彼は異常な体質を持つ人間で、その能力はあらゆる生物に害をおよぼすことだ。


「あがあぁああああ?! 俺の腕にヒビがぁあああ! こいつバカ硬てぇえ!」

「クールじゃないね。──うん、一気に仕留めよう」


 プラックトップは彼の代名詞である黒剣──邪剣ドレッドルードに黒い炎をまとわせた。本気の証拠だ。


 この黒炎に焼かれた傷は、どんな魔術でも癒すことはできない。


「まずは、三段突き」


 掴みかかってくるデカイ腕を避けて、黒い剣先が厚い胸板を突いた。

 ほぼ同時に、2撃目と、3撃目の刺突が強靭な胸板を貫通し、人造人間はぶっ飛ばされた。


 ダンディとジャーキーは唖然とする。


「ん? どうしたんだ、2人とも」


「いや……なんでもねえ」

「ダンディダンディ……っ、フランってあんな強かったっけ?!」


 小声で耳打ちするジャーキーへ、ダンディは「さあな」とだけ返す。


 衰退する過去の英雄にとって、英雄を踏み越えて、その先の高みへ行こうとする者は眩しくて仕方がなかった。


 青い血をしたたらせながらも、人造人間は立ち上がってくる。


 直後、また巨体が弾かれた。


 廊下の壁に叩きつけられ、壁を突き破っていく。


 さらに、何枚もの壁を突き破り、ついには、4日前にパーティを行った、大きなホールまで人造人間はぶっ飛ばされてしまった。

 

「あまりにも速い剣裁きによる、現実の処理能力を上回る神業……しびれるねえ」


 それはかつて、魔術の勉強に打ち込んだ少年だった『黒剣』が提唱した無謀な理論だった。


 「現実を騙せれば、強烈なイメージを事実として上書きできる」──現実干渉魔術は、可能である。プラックトップはそう考えた。


 だが、まわりはそう考えなかった。

 

 魔術師たちは「君は魔術を知った気になっているだけだ」「ユニークな題材だが、現実的じゃない」「剣で魔術を? はは、失礼、笑うつもりはなかった」散々にバカにした。


 論文は川に投げ捨てられた。


 それから15年──『黒剣』は完成させた。

 卓越した剣術のみで、現実を騙し、バグが生じる隙を与える現実干渉魔術の発生を。


 それは、先走る意識ゆえに、ただ実際よりも遥かに激しい衝撃を生み出すだけの現象ではあるが、たしかに超高次元の魔術である。


 人造人間は、まだ立ちあがろうとする。

 

「もう2回使ったんだが……ペースを落とそうか、クールにな」


 その後、3人の連携の取れた攻撃が始まった。


 ダンディは、プラックトップとジャーキーに接近戦を任せながら、遠隔から66mmの魔導弾で傷口を正確に狙って、射撃を加えた。


 それでも硬かった。


 傷口に見事当たった弾芯は、敵の出血量を確実に増やしたが、肩と腕の接合部に当たろうとも、腕が落ちるような事はなかった。


 ほどなくして、人造人間はジャーキーの毒で完全に動けなくなった。プラックトップは殺さなかった事を悔しそうにしていた。


 ダンディは千切れかかった肩の関節へ、追加で魔導弾をおみまいする。


 無防備なところへ、強力な攻撃を受けたせいで、人造人間の右腕は、千切れかかり、筋肉の繊維が繋ぎ止めるだけになった。


 これは無駄な追撃ではなかった。


 ダンディにとって、報復の危険性がある学会側と次、戦う事になった時のために、完全に殺せるまでに必要な弾を知っておくためだった。


「同じ箇所に7発かい。財布に厳しいモンスターだねえ」

「やったぜ! 怪物学会のモンスターつってもこの程度か!」

「こいつと同型のが、あと4体はいたけどな。あれ全部相手するとなると、ゾッとしないぜえ」

「クールだね、怪物学会。敵には回したくなかった」

「今更、どうにもならねえよ」


 戦闘は終わった。

 恐ろしい怪物だった。


 ただ、魔術王国最強のマスター級冒険者は、想像を遥かに上回る強さなだけだ。


 彼らが力を合わせれば倒せない敵はいない。


 自然界には……。


 ───────────────────


 ──アルバートの視点


 ダ・マンから信号が届いていた。


 彼に出した命令『マスター級冒険者と握手する』を完遂できないという報告だった。


 アルバートは屋敷の正門で、逃げていくフレデリックの馬車をどう追うか考えているところだ。

 

 空を使うか、陸を使うか。

 空を使うとなると準備が必要で、陸を使うとなるとダ・マンを引っ込める必要がある。


 うーん、と唸りながら、速攻召喚で専用ブラッドファング、ジャックを呼び出す。

 その、かたわらに、ダ・マンから届いた信号のくわしい内容を確認する。


 怪書には、叡智を持つ人間にのみ与えられるアナザーウィンドウの情報が載っていた。

 

 ──────────────────


 マクド・ジェノン

 スキル:【盾】

 体力 24,000/50,000

 魔力 150/150

 スタミナ 40,107/50,000

 ステータス:再起動待機状態


 ──────────────────


 特別な生物である人だけに与えられた、神のステータス表示は、鮮烈な戦闘が行われた事をアルバートに教えてくれた。


「マスター級、これほどか」


 アルバートは感嘆のため息を漏らした。

 DDDが想像を遥かに上回るパフォーマンスを見せたからだ。


 アルバートは今夜はじめて、すこしだけ嬉しそうな顔をして、負傷したダ・マンとの繋がりに「第二形態に移行しろ」と指令を出した。


 ───────────────────


 ──ダンディの視点


 ダンディは、ひと仕事終えて、ようやく煙草を吸えると思い、口に一本くわえる。


 そこまでは良かった。

 ただ、彼の直感が、どうしても煙草に火をつけさせてくれなかった。

 

 ダンディは自分が何に対して警戒してるから理解する。


 そして振り返った。今しがた殺した怪物へと。


 膝をついて起動停止した状態から、それが嘘だったかのように動き出す人造人間。


 様子が変だった。

 お洒落なトレンチコートは内側から隆起する筋肉によって、伸びていき肌に張り付いていく。


 筋肉はどんどん、デカくなっていった。

 

 やがて、2mだった身長は2m50cmにまで達してしまうほどに巨大化した。


 フォルムも変化した。


 上半身は肩の筋肉が肥大化し逆三角形となり、腰はくびれ、足首は細く、太ももと、ふくらはぎの筋肉は著しく発達していた。


 誰しもが、あるべきところに筋肉が移動した──そんな馬鹿な感想を抱いてしまうだろう。


 ダンディは思わず、くわえた煙草を床に落とした。


「ジャーキー毒はどうしたんだあ?」

「効いてるはずだぜ、ダンディ……」

「まったく、どこまでクールなんだ?」


 プラックトップは自分が殺さないといけないと思い、全身の力を足のバネに集中させる。


 これは、剣などの武芸の道に身を置いた者が身につけられる『剣気圧』と呼ばれる生命エネルギーが変化したものだ。


 東の列島の国々では、″気″と呼ばれており、身体能力を飛躍的に向上させたり、硬くオーラの鎧として、外部の衝撃から身を守れたりする。


 剣気圧を足に宿した途端、プラックトップの姿が掻き消える。


 遅れて、踏み切った衝撃が発生し、床に亀裂がはしった。


 次にプラックトップの姿を視認できたのは、人造人間の背後だった。


 人造人間の肩口から、青い血が噴き出る。

 しかし、すぐに固まった。


「さっきより応急処置が速くなってる。クールだ」

 

 プラックトップは再び、高速で人造人間へ接近して、邪剣を走らせる。


 が、直前になって、直立不動だった人造人間は機敏に振りかえった。息を呑むプラックトップ。──反応した? まさか見えている?


 人造人間は左手で、千切れかかった右腕の手首を掴んだ。そして、思いきり千切った。


 そのままの下から上へと、千切れた右腕を剣のようにつかって、振り上げて天井を叩く。


 プラックトップは、のけぞって鈍器:右腕をかわす。


「クールすぎじゃないか?」

「おいおい、速さまで手に入れて、俺たちやどうすりやいいんだい」

「ダンディ、オレ死ぬかも……」


 皆が弱きになるなか、黒い影を一匹引きずって、白髪の男がやって来た。


「手こずってそうだな、ダンディ」


 疲れた顔のハドソンだった。


 心強い味方の到着……とはいかなかった。


 彼もまた、相当激しい戦闘をして来たらしく、疲れ切っていた。無惨にも半ばでへし折られた愛武器の長砲の姿には目も当てられない。


「さてと、んじや、DDDの本気を見せてやるとするかい」


 人造人間は打撃武器:右腕を、大きく振りあげて咆哮をあげた。


 ──10分後


 サウザンドラ屋敷の敷地には、ポツポツと、先ほどまで屋敷だった建物の残骸が立っているだけになっていた。


 足場を破壊した生き埋め、ワインセラーに沈める水攻め、屋敷にあった素材で作った即席の武器をもちいたありとあらゆる攻撃。


 装備で物事を解決するタイプのダンディとハドソンは、中年のスタミナの限界を感じていた。


 とはいえ、本当に心臓が爆発してしまう前に、戦いは終わってくれた。


「はあ、はあ、はあ、死ぬかと思った……!」

「いや、何回か死ぬ場面はあった」

「オレ、まだ、生きてる……」

「こいつあ、しんでえな」


 DDDと人造人間の戦い。

 そこに勝敗はつかなかった。


 それは、突如として庭の噴水に美しい人魚が現れたせいだった。


 現れた美しい人魚の娘が、手招きをすると、それまで暴れまわっていた人造人間は、フッと正気に戻ったかのように暴れるのをやめた。


 そして、人魚に招かれるがままに、従順に噴水の中へ入っていき、姿を消してしまった。


「はあ……はあ、はあ……っ、人魚見るのも初めて。はあ……噴水に帰るのも意味がわからない、まったくどこまでクールなんだ……!」


 後半、疲れきった中年と、液状になって戦闘不能になった弟分のかわりに、一人で人造人間を相手していたプラックトップは、庭に大の字で広がり、アナザーウィンドウを開いた。


 残りのスタミナが『1』になっている。


 これが出し切った、というやつか。

 

 と、プラックトップは満足げに、自分の努力を称える。そして、そのまま疲労で気絶した。


 彼の隣では、同じく戦闘不能になって、紫色の液体となってしまったジャーキーが、心配するように寄り添っていた。


「ハドソン、俺たちや助けられたのかもしれないな」


 ダンディは空を見上げ、至福の一服をふかしながら、長縄の相棒へ言った。彼もまた煙草に火をつけながら答える。

 

「どうしてそう思う?」

「人魚が来る前、フランが倒れた時さ。あの時、あの化け物はフランに手を差し伸べてたんだ」

「……正直言うと、俺も何度か手を、それこそ握手を求められるみたいに差し出されてた気がする」

「学会長は自分のモンスターを、視線の向き、呼吸の回数まで操れるっていうじやあねえか。だとしたら、あの行動の意味は……」

「ダンディ、考えても仕方ない。俺たちは生きてる。それでいい。……学会長には、いつか落ち着いたら会いに行けばいい」


 ダンディは薄く笑い、ハドソンもまた珍しく渋みのある笑みを浮かべた。


 共に夜空を見上げる。


 彼らの視線の先では、元気に空を飛ぶスカイホーンドラゴンと、それと同じくらいの大きさの″赤黒い鳥″が追いかけっこをしていた。


「本当にクレバーな選択は、依頼を受けない事だったのか……」

「祈るしかない。『竜も怪人も、うちにとってはさしたる損害じゃない』って言ってもらわなきゃ、あとは逃げるしか残ってないからな」

「はは、今更、そんな虫の良い話はねえよ、ハドソン。俺たちには許しをこう資格がねえんだからな」

「……違いない、か」

「ああ、違いない。協会への義理は果たした。今晩には発つぞ。フランは俺が持つ。ジャーキーを瓶を詰めて回収してやってくれ」


 ───────────────────


 その晩、DDDとリーダー『暁』ダンディの妻と娘は、王都から姿を消した。

 1週間後、魔法王国での目撃情報を最後に、DDDは消息を完全に経つことになる。

 

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