第67話 大草原が復活

 感謝状がヒースレイ国から届いた。

 なんでも辺境が豊かになったらしい。

 大豊作だそうだ。

 マッドドラゴンの時に豊穣を願ったからな。

 あんなんで効いたのか。


 そう言えばステータスを最近見てないけど、どうなっているのだろう。

 ちょっと怖い。

 でもチェックしないと凄い不味いような。

 牛乳で腐った雑巾を見るような気分だ。


「ステータス・オープン」


――――――――――――――――

名前:シゲル・リョクテ

魔力:19787/19787


スキル:

 サケタの種

 国家園

 名前ジェネレータ

 言語理解

 絶倫

 賢者タイム

 レベルアップ

 エイヨーN2

 エネメス

残金:

 128,014,687円

 次の給与まで9日

――――――――――――――――


 ええと一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、一億。

 一億を超えている。

 うわ、俺って超新星になって爆発したりしないよね。

 駄目だ。

 一気に使わないと。


 地面に手を置き。


「懇願力よ、大地を浄化したまえ」


 何も変わらないな。

 でもすっきりした気分だ。

 心なしか空気が美味い。


「何をした!?」


 ランドルフが血相変えて飛び込んで来た。

 何かあったのか。


「えっと、何が」

「地平まで緑一色だ」

「俺には変わらないように見えるけどな」

「目が悪いのか」


 失礼な。

 視力は2.0はあるぞ。

 あれっ、そう言えばテレビで言っていたな。

 アフリカに住んでる人は目が良いとか。

 視力をはかる機械はないけど、きっとランドルフの方が目がいいのだろう。


「俺は目が悪いらしい。いや病気じゃないよ。遠くの物が見えないだけだ」

「それは可哀そうだな。良い目は良い戦士の必須条件だ。もてる要素でもある」


 俺は遠回しに不細工と言われたのか。

 ショックだ。

 しかし、遠くの様子は精霊が教えてくれる。


「俺にはここからヒースレイ国が見える。もちろん肉体の目じゃないけどな。精霊の力だ」

「それは凄いな。きっともてるぞ」

「奥さんは間に合っている。それより緑の件はいいのか」

「何かやったんだろう」

「ああ、ちょっと大地全体を浄化してみた。ちょっと待って。ステータス・オープン」


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名前:シゲル・リョクテ

魔力:19787/19787


スキル:

 サケタの種

 国家園

 名前ジェネレータ

 言語理解

 絶倫

 賢者タイム

 レベルアップ

 エイヨーN2

 エネメス

残金:

 325円

 次の給与まで9日

――――――――――――――――


「どうした」

「うん、力を使い果たした。これで当分は大丈夫だ。精霊よ、大荒野の様子を教えてくれ」


 うわっ、大荒野が緑一色だ。

 もう大荒野とは呼べないな。

 大草原と呼ぶべきだ。

 国境はまだ荒野だな。

 他の国まで浄化するには至らなかったらしい。


「大荒野が大草原になった」

「悲願が……」

「ランドルフ、泣いているのか」

「今日ぐらいは泣かせてくれ。一族は救われた」


 大げさだな。

 さて、畑仕事でもしますか。


 鍬をふるうたびに力がみなぎってくるのが分かる。

 おいおい、これはあれか。


「ステータス・オープン」


――――――――――――――――

名前:シゲル・リョクテ

魔力:19787/19787


スキル:

 サケタの種

 国家園

 名前ジェネレータ

 言語理解

 絶倫

 賢者タイム

 レベルアップ

 エイヨーN2

 エネメス

残金:

 510,579円

 次の給与まで9日

――――――――――――――――


 うわっ、50万も溜まってる。

 隣の畑ではシゲル神に栄光あれと叫んでる。

 ピピデの民で今まで俺を信仰していたのは、ごく一部だったらしい。


 こりゃ全てが俺の信者になる日も遠くないな。

 不味い。

 そうしたら、懇願力の溜まるのが加速する。


「ランドルフ、俺を崇めるのを辞めてくれ」


 俺はランドルフに泣きついた。


「無理だな。感謝の気持ちは変えられん」

「そこを友達として思ってくれれば良いんだ」

「そんなの無理だ。命を助けてもらって友達だと思えるか。普通は尊敬するだろう。やった行為が偉業であればあるほど神に接するのと変わりなくなる。諦めろ」

「そんなぁ」


 よし、次に一億溜まったら、匿名でヒースレイ国に行って一発かまそう。

 誰がやったのか分からないはずだ。

 そうしよう。

 今回はランドルフに喋ったのが敗因だ。

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