第10話 姉妹丼

「えっとだな。植物に必要な栄養素は窒素、リン酸、カリだ」


 俺はエリザドラを前に講義している。


「うんうん、それで」

「知識が欲しいって言うからレクチャーしたが、意味が分かるのか?」

「膣素、りんさん、カリ。覚えた」


 なんか字が違う気もするんだよな。


「りんさんって誰?」

「分かってないじゃん」


「もっと知識を」

「じゃこれはどうだ。エリザドラはナス科だ。ナス科って言うと、なす、トマト、ピーマン、じゃがいも、唐辛子ってところだな」

「ナス科?」

「親戚って事だ」

「ジョセアラとキャロリアは親戚?」

「そうだ親戚だ」


「家族増やす」

「夜のお誘いか。大胆だな。ちょっと待て、【賢者モード】を切る」

「違う、トマト植える」

「そうだな、聖域も広がったし、土地は余っている。良い目の付け所だ。冷やした完熟トマトは美味いからな」

「完熟トマト?」

「そうだぞ。スーパーのは完熟トマトって言っても、かなり早く収穫する。畑で完全に完熟させたトマトは一味違うんだぞ」

「楽しみ」


 エリザドラと一緒にトマトの苗を植えた。


 夜になり。


「親戚増やす。夜の勉強」

「今日の当番はエリザドラか。ホットな夜を過ごそうな」


 妻達との話し合いで一晩に一人にして貰った。

 毎日が大艶回では身が持たん。

 よし、致すとしますか。


 翌日。


 他の精霊の樹と比べて一際高い樹がそびえ立っていた。

 俺とエリザドラは大精霊が産まれるのを二人して見守った。

 2メートル程のトマトの実に光が灯る。


「始まったな」


 光が収まると豊満なエリザドラがいた。

 赤い髪と赤い目で赤いドレス。

 顔はエリザドラにそっくりだった。

 ただし、少しロリ気味のエリザドラに比べて、この大精霊はもの凄く爆乳だ。

 【名前ジェネレータ】オン。


「君の名前はヴェネッサだ」

「分かったわ。よろしくね」

「ヴェネッサも俺の妻になるなんて言わないよな」

「私はあなたの血に興味があるわ」


 これは俺の遺伝子に興味があると言うことか。


「よろしい、お相手つかまつろう」

「エリザドラも一緒」


 おお、擬似姉妹丼。

 燃えてきた。


 【賢者モード】オフ。

 ビニールハウスイン。


「ちょっと、あなた達どこ触っているの。その荒い鼻息は何」


 むっ、抵抗された。

 無理やりは趣味じゃない。


「誘ってくれたんじゃないのか?」

「なんでこうなるのよ。私はあなたの血が見たいって言ったの」

「へっ、血」


「私の魔法の属性は血魔法よ」

「もしかして前世は拷問士」

「分からないわ。でも、そういった知識はあるわね」

「大精霊って高潔な人がなるって言われたけど」

「殺しをした事はないみたい。血の味で色んな事が分かるスキルを持ってたようね」

「血を採取すれば記憶を引き出せるスキルを持っていたのか」

「ええ、今も同じ事が出来るわよ」

「じゃあ、血を取っていいよ」

「お言葉に甘えて」


 俺の首筋にヴェネッサは噛み付いた。

 ちくりと針で刺されたような痛みがする。


「驚いた。あなた犯罪暦ゼロじゃない。それどころか喧嘩も子供の頃に二回。争い事もなし。動物を殺した事さえなし」

「おう、小さな盗みだって、やった事は一回もない」

「あなた偉いのね。惚れちゃいそう」


 彼女の上気した顔を見ていたらムラムラきてしまった。


「姉妹丼、再開だ!」

「エリザドラも頑張る」


 今度は彼女も抵抗しなかった。

 なすがままにされている。


 いつもよりたっぷり致してしまいました。

 おそろしや、姉妹丼の威力。


 一息ついてから、ヴェネッサは眷属を作った。


「とま」「とまー」

「「「とま」」」


「この眷属。どんな事をするんだ?」

「血を確かめて、正義心を持った人に力を貸すの」

「肉体の中の血流を操って身体強化したりするのか?」

「そのとおりよ。さあお行きなさい。正義を成すのよ」


「「「「「とまー」」」」」


 精霊は四方八方に散っていった。

 相変わらず聖域は広がっている。

 今では周囲一キロぐらいが緑の絨毯で、魔獣が侵入してこない。

 大亀が手伝ってくれるが、雑草を抜くのが追いつかない。

 耕した畑を守るだけで精一杯だ。

 草刈機は通販で買えるが、肝心のガソリンが買えない。


 ピピデの民に早く来てほしいものだ。

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