05 彼は

 警官、だったらしい。


 それも、街を護る最前線の仕事。街に5人ぐらいしかいなくて、そのトップで。矢面に立っていて。死んでようやく、職務が明かされる特殊な警官。


 私に仕事のことを言わなかったのは、たぶん、心配させたくなかったから。


 いつ死ぬかも分からない日々を。休みなく働き続ける日々を。


 ときどきわたしの家に転がり込んで、ゲームすることだけを。


 楽しみにしていたのに。


 わたしは。


 なにも。


 してあげられなかった。


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