無駄な努力

夏目咲良(なつめさくら)

無駄な努力

 遂に明日は、野球部のレギュラー発表だ。

 僕は、神社の境内で最後の追い込みを行っていた。時刻は既に夜の10時を過ぎてしまっている。もう少しだけ、後もう少しだけとやってるうちにこんな時間になってしまった。

 僕に才能なんてものは無い。だから、部活が終わった後もここでずっと努力を続けてきた。その結果が明日には出てしまうのだ。

 後、10回。これが終わったら、帰ろう。僕は最後の力を振り絞り、バットを振った。


 


 同時刻。妙な金属音がすると、通報を受け警邏の警官は神社へと向かった。そこで彼が見たものは――。

 五寸釘でこれでもかと、境内の木々に打ち付けられたおびただしい数の藁人形と地面に転がされた金属バット―。

 突如、強い風が吹き、藁人形の一つから紙が千切れ落ちる。マジックでこう殴り書きされていた。

『――が怪我をしますように』

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無駄な努力 夏目咲良(なつめさくら) @natsumesakura

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