リボルバー & ハルバード

春嵐

01 リボルバー.

 リロードしながら、通信を繋げる。


「ハルバード、聞こえるか?」


『大丈夫だ。リボルバーの声もリロード音も聴こえる。感度もアンテナも良好』


「見つけたぞ。これから路地裏に入る」


 猫。


『先回りして待つ。うまく追い込めよ』


「わかんねえぞ。なんせ猫だ」


 突然飛んでいくかもしれないし、跳びかかってくる可能性もある。


『ハルバードがなんとかしてやるよ』


「かっこいいのは名前だけにしとけ」


 ハルバードという名前。何かのゲームに出てくるらしいが、どうせかっこいいからという、ばかな理由でつけただけなのだろう。


人のことは言えない。自分の名前。リボルバーを使うので、リボルバーだから。


 猫。


 こちらを威嚇する動き。


「まあ、そりゃあ、捕まえようとしたら威嚇するだろうな」


 てぶらで、武器は持っていないというアピール。リボルバーは腰の後ろに隠して差してある。


「ほら。鳴いてみろよ」


 鳴いたら網をかけて、強引に引きずり出してやる。


『おい。あまり刺激するなよ。罠がちゃんと作動するかも分からねえんだ』


「大丈夫だろ。こんな小さな猫ごとき」


 化け物や魑魅魍魎に比べれば。かわいいものだ。


 猫。


 鳴いた。


「さあ網だ」


 上から降ってくる。


 網。


 すり抜けた。


「すり抜けたぞ?」


『もしかして、俺たちが思ってるよりも猫は小さいのかもしれねえな』


「捕まえるのが更に面倒になってきた」


『殺すか?』


 殺す。


「殺せるか?」


 小さいぞ。射程に捉えるのすら難しい。


『俺を誰だと思ってる。接近戦用のハルバードだぞ?』


「いや、知らねえよ」


 そもそもハルバードを知らない。槍なのか戟なのか斧なのか。


『まだそっちにいるのか?』


「目の前にいる。これ以上近付いたら身体の中に入ってきそうだから、一応の距離は取ってるけど」


『猫吸いだな』


「うわあ、吸いたくねえ」


『全面どくどくで死ぬな。確実に』


「どくどくですよ、どくどく。それにもうどくだ」


 猫。


 こちらを見つめる、眼。


「やるぞ。そっちで仕留めろ」


『了解。いつでも来い』


 駆け出して。


 脚で。


 蹴飛ばす。


 脚から猫が入ってきそうなので、脚も折ってそのまま投げた。


「俺の脚ごと行ったぞ」


『脚って。うわっ』

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