第53話 門司港DEデート
「お、時間に間に合ったな。」
真白はロビーに現れた恵の姿を捉えると椅子から立ち上がった。
恵の恰好はヤンキーとは似使わない可愛らしい恰好をしていた。
少し短めのスカートがそう見えるアクセントなのだろうか。
うっすらピンク色をしている。これまでの恵にはない太腿半分までのミニスカート。
下着……透けないよなと真白は違う心配をしていた。
半袖のブラウスも水色で涼しさと同時に可愛さを押し出していた。
鮎川ま〇かがひ〇るちゃんのような恰好をしていると言えば伝わるだろうか。
「ま、待たせたな。」
その言葉はどちらかというと、喧嘩の場に後から現れた男の言葉である。
しかしこの言葉は種田恵の口から発せられたもの。
「いいや、大丈夫だ。」
真白は返答すると、恵の隣に並んで歩き出した。
ホテルを出ると真っ直ぐ門司駅へ向かう。
照りつける太陽からの日差しは厳しいものであるが、この二人の間には違う暑さが存在していた。
歩いても数分の距離であるが、会話が成り立たないまま駅に着いてしまう。
この上手い会話も出来ない緊張感が、太陽からの暑さよりももどかしく感じている事だろう。
切符を買って電車を待つが、そこに特に会話はない。
真白も恵も本当は喋りたそうにしていた。
仲間になりたそうにこちらをみている状態であった。
以前の水着を買いに行った時の服装とも違う。
恐らく夏合宿前に買った新しい服装だという事は、鈍い真白にでさえわかる。
でもそれを言葉にするだけのスキルは持ち合わせていなかった。
しかし然程も待たずに電車はやってくる。
偶然かもしれないが良いタイミングである。
二人はガラガラな電車を良い事に4人掛けの向き合い椅子の所に向かい合って座る。
隣同士で座るのと、向かい合って座るのはどちらが緊張するだろうか、どちらが恥ずかしいだろうか。
電車が門司を出発すると、ものの数分で小森江へと到着する。
「恵、あそこに見える病院、監督が産まれた病院だってよ。」
「へー。」
会話が進まない盛り上がらないすぐ止まると3悪だった。
電車が出発すると再び景色が動き出す。
右を見れば山、左を見れば……道路。
微かに海が見える時もある。
門司港駅に到着するとホームに降りた。
二人は改札方面に向かって歩き出す。
「ほら、行こうぜ。」
少し進むと真白は何かを発見する。
「おー車輪がある。」
真白はすかさず写真を撮影した。
「せっかくだから恵そこに立てよ、写真取るから。」
「え、あ?良いよ別に。あたし別に鉄ヲタじゃねぇし。」
真白と恵が問答していると突然声をかける人物が現れる。
「あらあら若いアベックだねぇ、良かったら一緒に取ってやるけん、一緒に並びな。」
見知らぬおばさまに声をかけられる真白達。
「あ、いや、あたしら別に。」
「え、あ、は……はい。」
恵は否定し、真白は流されるままにカメラを手渡す。
「はい、3、2、1、カシャッ。」
カシャって自分で言うのかよというツッコミは飲み込んだ二人。
少し引き攣った笑顔の恵と真面目な顔の真白が写真には納められていた。
「あ、ありがとうございます。」
「のー、あんたら旅行け?門司港も昔と比べると大分変わりよるからねぇ。鉄道博物館は出来るし。せっかくーきんしゃったけん、楽しんどーと。」
関東の人間には馴染はないのかもしれないが、北九州は所謂ばってんとかは使わない。
ばってんは博多弁のため、北九州市ではほとんど使う人はいないのである。
別にナワバリとかがあるわけではないが、同じ県でも多少言葉の壁は存在したりする。
「今日一日門司港観光の予定です。特にどこに行くかは決めてないのでめぼしいところを回れるだけ回ろうかなと思ってるだけで。」
「ほならパコダとか和布刈公園とか関門海峡とかトンネルとか巌流島とかも面白いっちゃけぇ。」
おばさまは俗に言う観光向けの場所を口に並べていく。
「なんしよん、ほら。あんたがリードせんなー。」
バンバンとおばさまに背中を叩かれる真白。
「じゃ、じゃぁ行こうか。おばちゃんありがとう。」
真白はこの場を脱出したいからか、恵の手を取ってその場を離れようとした。
「がんばりぃや~」
おばちゃんが手を振って別れていく。
「わっ、ちょぅ、真白っ。」
引かれていく恵の頬が紅潮しているのは暑さのせいではないだろう。
少し強引に引っ張る真白の行動のためか、心臓の鼓動が少し早くなっていた。
「とりあえず近くにある九州鉄道博物館に行こう。」
「やっぱり電車かー。」
博物館にはいろいろな引退した車両が置いてある。
中に入って座ったりも出来るのだ。子供や鉄道ファンにはわくわくする施設である。
「なぁそろそろ次行かないか?」
真白のカメラにはたくさんの車両等の写真が納められている。
先程おばちゃんに撮って貰った写真に行きつくまで、かなり戻らないと辿り着けない程度には。
「あ、すまん。俺だけ楽しんでしまった。」
「まぁ、いいけど。」
その後、二人は平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線に乗って和布刈へと向かった。
全部で4駅の観光線である。
終点の関門海峡めかり駅まで行くと、関門海峡を一望することが出来る。
そこにも車両が置いてあって、中では軽い飲食と模型などがおいてある。
そこでも当然真白は写真撮影に励んでいた。
そして少し歩いて海沿いへと向かう。
「おー渦巻いてるー。巻き……」
「それ女の子が言っちゃいけないやつな。」
真白は恵の頭に
「じゃぁ和布刈公園行って、パコダ行って戻って来て関門トンネル行くか。」
「怒涛の観光ラッシュだな。」
デートという言葉を意識外に置いた恵は大分素に戻っていた。
変に意識してしまうからこそ言葉がおかしくなるし、妙にテンパってしまうという事を心のどこかで自覚しているのかも知れない。
公園を廻り歴史に触れた二人はその後、めかり駅方面に戻っくるとそのまま道路沿いに進みまずは和布刈神社へ。
進もうとしたところで、海風がいたずらをする。
ぶわっと二人を襲うと、恵のスカートを捲ってしまう。
「ちょっ……」
真白の顔に赤みが差してくる。流石の真白ももろぱんは刺激が強かったようだ。
プールで背負ったりした事があるくせに、随分と純情であった。
「み……見た?」
そこで見てないと言っても信じては貰えまい。そう判断した真白は素直に首を縦に振った。
「白だったのは意外だけど、その服とか考えると可愛い組み合わせだと思うぞ。」
素直過ぎる感想を真白は伝えていたけれど、この場合正解かどうかはわからない。
「ありがとうと言って良いのか、殺すぞと言って良いのか複雑な心境だな……」
真白もまさか、「真白の白」だとは想像出来ていない。
これは澪からのサプライズ色だというのは言われなければ気付けない。
穿いている恵でさえ、理由を聞かなければわからないくらいだった。
こんな自分が白とか似合わないだろうと避けていたくらいだ。
それならば普段は何色なんだ……というのは言わない聞かないお約束でもある。
体育の時とかは流石に白であるけれど、可愛い白ではない。
「シャッターチャンスを逃してしまったと言えば良かったか。」
「それは流石にぶっとばすぞ?」
そのやり取りがラッキースケベから平常心に戻す事となった。
海も近いため潮の香りが漂っている。先程の風はなかった事になっていた。
和布刈神社では何かを願った後、二人は再び街道を歩いていく。
そして関門トンネルへと繋がる入り口に辿り着いた。
エレベーターで地下深くまで潜ると、そこはすでに海よりも深い地下道。
「これにはマリアナ海溝よりも深いわけがっとっかいうネタをやるなら今だな。」
「これには関門海峡よりも深いわけがっ!に言い換えるけど。」
「何言ってんだ?」
恵は呆れた様子で真白に聞き返した。
下関側出口を出ると、門司港方面に向かって写真を撮りまくる。
怒涛の観光をして門司港駅へ戻ってきた時には昼を少し過ぎていた。
「せっかくだし門司港カレーを食べよう。焼きカレーの事な。」
恵が提案をしてくると、真白は二つ返事で了承する。
疲れた時にはカレーが一番とどこかで聞いたことがあるからだ。
階段を上り2階の店舗へと入っていく。
「ここの女性店長が監督と同じ病院の生まれなんだってさ。」
「へー。」
会話が進むはずもなければ弾むはずもない。どうでも良い情報だし、何故知っているんだという話でもあった。
焼きカレーの中に焼きバナナが入っており、それがまた絶妙な味のバランスを醸し出していた。
程よく腹を満たした二人は焼きカレー屋を後にすると、海沿いに向かって歩き出した。
「次は巌流島行こう。船乗れるし。」
そして運よく巌流島行の船の時間に間に合うと、船は早々に出航した。
思っていた程の揺れはないが、風が乗船客達に突き刺さる。
日差しが強いせいか、その風はとても気持ちの良いものとなっていた。
巌流島について暫くすると、真白達はとあるおっちゃんに呼び止められた。
どうやら紙芝居をやっているらしい。
島を一周する前に巌流島決戦の紙芝居を見るのもありかなと思い、真白と恵はちびっこに交じっておっちゃんの紙芝居を楽しんだ。
どうやらこのおっちゃん、新聞にも載った事があるらしい。少し自慢していた。
その後巌流島を写真撮影しながら一周する頃には夕方になっていた。
門司港に戻る船も残り少しとなっている。
行きに見えた下関の工場がまた違って見えた。
太陽の光如何によって同じものでも新鮮な感じを受ける。
だからかも知れない。
真白は思わず漏らしていた。
「その恰好の恵も可愛いな。」
和布刈神社で似合っているといった時は、風のいたずらによるもろぱんの勢いがあったためノーカウントになっている。
「は?なんて?」
風が強いからだろうか、恵には届いていなかったのか。
それとも、恥ずかしいセリフだから聞き直しただけなのか。
「あ、い、いや……なんでもな……」
「いまこのにーちゃん、ねーちゃんのことかわいいっていったー。」
近くにいたちびっこが見事に暴露してくれていた。
「か、かわっ……ざー……ボンッ。」
自分で自分の状態を口にするのもどうかと思うが、恵は恥ずかしさのあまり真っ赤になっていた。
それは真白も同じようで、決して夕陽のせいではない。
「にーちゃんすなおにならないとねーちゃんにげちゃうよー。」
「ちょっと、コラ。勇太っ。ご、ごめんなさいね。ウチの子が……まったくおませなんだから……」
そう言って母親がちびっこ……勇太少年を連れて少し離れた席へ移動してしまう。
後に取り残されたのは真っ赤な顔の高校生二人であった。
「かっ、かわ……」
「あぁ、お、俺は、な、なにを……」
巌流島から門司港までの船は然程長い時間ではない。
風に当たるうちに二人の温度は少しだけ下がっていた。
気まずそうにやや下を向いている恵に、何を話して良いのかわからず海峡を眺める真白。
「それ、朝倉と買いに行ったんだろ……?」
「ん、あ。あぁ。」
「まぁ、なんだ。に、似合って……るぞ。普段の豪胆なのも良いけど、そ、そういう可愛い系?も悪くない。こ、こんな言い方しか出来なくて申し訳ないけど。」
思っていた事の半分も言えてはいないけれど、朴念仁の真白からすれば上出来である。
真白を知っている人間がもし傍に居れば、拳を握って「良し。」と言っているだろう。
「そそ、そうか?ははっ。殆ど澪の受け売りだけどなってうわぁっ!」
跳ねた水飛沫が少しだけれど恵に掛かってしまう。
「大丈夫か……ぁ、あ?」
ピンポイントに掛かった部分、そこを注視してしまった真白はたじろいでしまう。
「ん?」
恵は真白の視線の先、つまり胸元に視線を落とすと……
「なっ、わわっ。」
バッと両手で胸元を塞いだ。それはつまり。
「み、見た……?見たのか……?見たんだよな?」
「すすっ、透けてなんて見えてな……」
そう言いながらも真白は鞄から未使用のタオルを取り出した。
「ん?」
差し出されたタオルを眼前に殴ろうとした手を止めた。
もちろん本気の殴打をするつもりは恵にはなかったが。
「とりあえず、濡れたとこ拭けって。夏とはいえ船の上は風もあるし、潮風で油断してると風邪ひくぞ。」
海水でもあるのでべたついたりもする。少量であれば影響はないけれど……
「あ、あぁ。ありがとう。」
少しだけ素直に返事をする。
今までであればありがとなであっただろう。
そして透けて見えていたブラジャーの件は水に流れたようである。
水は水でも海水だけれど。
門司港に着くともう少しだけ散策を続けた。
オルゴール館で懐かしい昔のアニメの曲を発見した真白は、ゼンマイを何度か回して手を離す。
「あぁ、懐かしいな。」
数秒して曲が終わると、恵はある一つのオルゴールの前で止まった。
そして手に取り、先程の真白のようにゼンマイを回す。
音を聞いている時の恵は聖母のように優しい表情をしていた。
これは真白の主観である。横から見ていて思わず和んでいた。
しかし恵は購入する事はせず、少し名残惜しそうに何度か目線を行ったり来たりさせながら結局諦めて先へ進んだ。
2階に上がると大きなオルゴールを発見する。
いくつかつているボタンを押すと、その曲が流れる仕組みなっているため恵はポチっと押してみる。
「オルフェウス?なんか神話に出てきそうな名前だな。」
真白はそう言いながら値段を見て、これは無理だ買えないなと悟った。
「でも流石に素人でも凄い音だなってのはわかる。」
門司港にはないが、宮城県松島にあるオルゴール館にはもっと歴史的なオルゴールが存在する。
その松島のオルゴール館には日本に1台しかないというオルゴールも存在する。
1冊約30万円もするミュージックブックという楽譜を使って演奏する。
本に穴が開いていて、どの楽器がどのタイミングで演奏するかの指示となっているのだ。
昔は全て手作業で製作されているため、書き直した跡もあるという。
ベルギーやフランスには現代日本人では想像出来ないオルゴールが数多く存在する。
しかし現在日本のほぼ真逆にいる真白や恵達がそれを知る事はない。
「時期があえば体験とか手作りも出来るんだな。そういえば何かで函館にもオルゴール館があると見た気もするし、日本には色々なところにあるのかもな。」
真白は館内を順に見て行き、その凄さに圧倒されていた。
オルゴールとは、単にゼンマイを回して奏でるだけではない事を知った。
館内を一周して元の入り口まで戻って来る。
ここに置いてあるのは比較的安価で高校生でも手の届く範囲である。
少し暗くなり始め、青空は群青色に濃くなってきていた。
もう少しす経てば青み掛かった黒色に染まる。
海沿いを歩く真白と恵。
跳ね橋を通り海峡を見渡すと、対岸の下関の灯りが徐々に目立ち始めているのを目に入る。
振り返れば少し大きなホテルがある。
周囲を見渡すとカップルや夫婦、家族連れが多くなっていた。
海と一緒に沈む太陽に合わせて、大人の時間がやってくる。
腰に手を回しているカップルも少数ではあるが目に入る。
「なぁ、めぐ……いつもありがとうな。マネージャーの仕事もだけど、要所での声出しとか。」
「その、先にサイクル打たれた時にはちくしょうと思ったけど、八百を通じてのアレ……助かったというかやってやるって気になった。」
「おかげで俺もサイクル打てたんだけど……これはこれまでの恵に対してのお礼だと思ってくれ。」
真白は小さな包みを取り出し恵の前に出した。
きょとんとしながらそれを見る恵の目には先程のオルゴール館の名前の入った包みだというのがわかる。
「……開けて、良いのか?」
真白は頷く。
「あ……」
それは恵が何度か買おうか迷って結局諦めたオルゴールだった。
「ん。ありがと。」
恵の口調が、普通の女子高生のように滑らかになっていた。
肩掛けの小さな鞄の中にオルゴールはしまった。
そこは一度ゼンマイを回して曲を聞くところだろうという場面ではあるが……
ビュオっと強い風が吹いた。
まるで風が恵の背中を押すように。
「っとと。」
そのまま真白の胸に飛び込み……収まった。
一連の流れなのか動作なのか、真白はそのまま受け止め手を背中で閉じる。
周囲から見れば単にカップルが抱き合っているようにしか見えない。
だからだろうか、真白も恵も普段にはない気持ちというか感情が表に浮かび上がって来る。
「今秋から来年夏はもっと上に行きたい。もっと応援と檄というバフを頼むわ。」
「しゃ、しゃーねーな。ガンガン行くからついて来い?」
言葉は素直に出せないようではあるけれど。
跳ねのけたり直ぐ離れたりしないところは、お互いに自分自身の気持ちを少しは見つめ直せた結果かもしれない。
ただし、普通のカップル未満の男女であればここは告白する最大の場であろうけれど、この二人にとってはその限りにはなかったようである。
「それと……なんだ?今日の恵は普通に可愛かった……ぞ?」
「なんだそれ。普通にって……もう今日は何度かその言葉聞いたから驚きも半減してるぞ。」
そう言う恵の心臓の鼓動は早くなっていた。
一方で真白の鼓動も早くなっていたため、その鼓動の波紋は互いに打ち消しあっていた。
つまりはお互いに妙な緊張をしており、そこを突っ込むと藪蛇になるという事を理解していた。
お前らいつ告白するの?今でしょ。という秒読み段階な二人はある意味期待通りにあと一歩が踏み出せないでいた。
宵闇に吹く海風が、シュールなシーンの演出を1段階上げていた。
「そこは見つめ合ってからのキスシーンでしょうがっ!」
「いや、先に告白だよね!?」
隠れて一日の全てを見ていた澪と八百が少し離れた位置からツッコミを上げていた。
「あ、今更かもしれないけど、朝倉の恰好可愛いね。良く似合ってるぞ。」
自称キューピッド役に徹していたこの朝倉澪と八百忍の二人が付き合う事になるかどうかは……わからない。
「綺麗だな……」
門司港の夜景を見ながら真白は呟く、あのまま抱きしめたまま。
「そ、そうだな。」
門司港の夜景を見ながら恵は返す、あのまま抱きしめられたまま。
こうして合宿最後の日程。
柊真白と種田恵の野球部総出の監修による強制デート作戦は幕を閉じた。
「あの二人が正式に付き合うのと、うちの野球部が甲子園に出場するの。どっちが困難なんだろうな。」
「正直どっちも難しいけど、普通に考えれば前者の方が可能性はあるはずなんだけど……あの二人恋愛偏差値はスタートがほぼゼロだったしなぁ。」
「体育祭とか合宿とか一気にその偏差値は上がったはずなんだけど……な。」
「公園での休憩中に膝枕とかなかったしなぁ。」
「キタキューのヤンキーに絡まれて、マネージャーがキレて乱闘もありませんでしたしね。」
「跳ね橋とか最高のロケーションなのに、プレゼント渡すのが精一杯って柊先輩も奥手っぽいですしね。」
「いやぁ、あそこでキスシーンがなかった時点で来年まで持ち越しだと思うなあ。」
八百と澪以外にも隠れて目撃されている真白と恵であった。
合宿が終わると、直ぐに二学期が始まる。
9月末には秋季大会が始まり10月には関東大会が行われその後明治神宮大会が行われる。
10月の大会でベスト4に残ればセンバツの出場権が、ベスト8に残れば選考によっては出場の機会が残る。
明治神宮の関東の成績如何によってはさらなるチャンスが残る。
岡田との半分約束みたいなものだった秋冬の公式戦での再会。
しかし桜高校がセンバツ甲子園大会に出場する事はおろか、明治神宮大会に参加する事も、ましてや関東大会どころか県大会、その地区予選大会にすら出場する事も出来ない事は、誰も知る由もなかった。
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