第37話 夏合宿の予定と乙女のぽりぽり
夏の予選決勝戦を戦ったという事は、それはすでに夏休みに入っているという事である。
後援会やら寄付やらで何故か野球部にお金がある程度入ってきたと監督が言っていた。
備品を揃えるか、合宿費にするかで多数決が取られた。
合宿に参加するという事は、その地域のチームと試合をする事も含まれるわけで、多数決の結果半分は合宿費用に充てられる事が決まった。
そして不足分として部員あたり1万円を徴収する事になった。
監督曰く候補地はいくつかあるとの事。
同じ関東地方内での強豪がいる神奈川か千葉。
遠出になるけれど大阪か福岡。
大阪は甲子園が近くて悔しいから却下と満場一致。
一日くらい見学もありだぞと言っても却下の声が多数。
結果、監督の母校ならば多少融通が利くという事で
北〇州、九州国〇大付属、東〇、折尾〇真、そしてなんと東〇岡との練習試合の予定も取って来てくれた。
そして監督の母校、豊国〇園とも。
監督……実は顔広い?とみんなが思った。
いくら母校がかつて暴力事件でせっかく甲子園出場が決まったのに不意にしてしまったヤンキーの巣窟だとしても……
(かつてはヤンキーたくさんいましたが、今はそうでもありません。元プロボクサー鬼塚勝也の母校だったりもするけれど、他にも何人かプロ野球選手の母校だったり。)
合宿の日付は8月16日から24日の9日間。
監督がダダをこねて前日15日にサンライズで岡山へ。
岡山で1泊して16日に新幹線で福岡入りする。
追加でお金が必要になったのはこのサンライズと新幹線のためと思われる。
「だって寝台特急はサンライズしかないんだもん。」と監督がダダを小ネタ……捏ねたためだった。
しかし後援会や寄付の半分+部員1万追加で足りるとは思えないと部員達は思っていた。
恐らく監督が校長を説得して余剰分の活動費を少し回してもらえるように土下座でもしたのだろうと考えていた。
ちなみに岡山でも合同練習をさせてもらえる事になっている。
本当に根回しの良い監督であった。
いくら夏の県予選準優勝とはいえ弱小校のレッテルはまだ拭えたとは思えない。
他県、それも地方が離れれば尚の事。
母校くらいは協力してくれたとしても、よくその他の学校が許可してくれたものかと誰しもが疑問に思っていた。
「ん?山田が中学でそれなりに名前知られてるからな。名も知らん学校だとしても対戦する事はプラスになると思ってるんじゃないのか?」
八百は他の部員に説明していた。もっともらしい理由ではあるけれど、それだけでOKしてくれるかどうか。
監督は「それはヒミツです。」としか答えない。
豊国〇園OBからあのヤンキーねーちゃんを目の前で見てみたいという声があった事は、監督は胸の内にしまっておくことにした。
やはりまだ多少の武闘派は残っていたらしいと。
流石に決勝のニュースは全国に放送されていたようで、真白も恵も時間は短いながらも全国放送されていた。
二人共テレビをあまり見ないのでそれに気付いていないだけである。
7月最後の日、真白はしま〇らへ来ていた。
理由はプールで穿く水着を新調するためだ。
やはり練習で使用した水着とかでは変だよなと急に思ったためだ。
これで良いかな?と思った水着を手に取り試着室へ真白は向かった。
「ん?」
真白は試着室の前で見知った顔を見かける。
試着室は残念ながら埋まっている。試着室が空くのを待っているのだろう。
「朝倉?」
真白は見知った相手に声を掛けた。
「あれ?柊君。」
それと同時だった。試着室2箇所のカーテンがバッと開いた。
「澪ーこの水着はどうか……にゃぁぁあっぁあぁ。」
「朝倉さん、これは派手じゃないか……しら?」
試着室から出てきたのは、種田恵と小倉七虹。
メグナナの二人だった。
「あ、恵……と小倉さん。」
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後書きです。
ちょい個人的な事含みます。
許可はとってないけど豊国と東福岡は従兄弟が通っていたし多少ネタにしてもバチはあたらないと思い練習試合の相手にさせてもらいました。
従兄弟は松坂世代で2年の時に甲子園で松坂からヒット打ってますし。
村田や田中賢介らと一緒に甲子園に出てますね。
爺さんが自慢げに言うから他親族から疎まれていたけど。
同じO田家なのに長男の家と次男の家でまったく違うアピールがね。
長男のとこは二人共豊国でかたや中学の頃からヤンキーとやヲタ、次男とこは東福岡で甲子園。
自慢したくなる爺さんの気持ちはわからんでもないけど、あからさまだから子供達に疎まれる。
みなさん家族は平等に愛しましょう。
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