🎈番外編の続き🎈~視覚障害者のガイド。どっちがガイドされてんのかわからない編~

 前回のエピソードで視覚障害者さん達のガイドをするために講習を受けた事を書いたのですが、今回は実際に視覚障害者さん達のガイドを行った時のお話です。




○ガイドしてあげようというのは思い上がり。むしろ支えてもらってる。


 イベント当日、会場には新幹線や飛行機を使って視覚障害者を持つ方たちが全国から訪れていました。

 彼らが宿泊するホテルからイベント会場までの道のりを(大よそ300mほどの道のり)誘導していくのが僕らボランティアたちの最初の仕事です。イベント会場は県内で最も賑わっている地域なので道中、自動車は沢山走ってますし、車道も横断しなければいけません。なかなか責任重大です。

 とはいえイベントの開催時間も迫っています。僕らはさっそくホテルへ迎えに行き、次々とチェックアウトしていくイベント参加者さんたちを会場まで連れていく事になりました。

 上手くできるかなぁ……なんて不安にかまっている暇もなく、といった状態です。


 僕がガイドしたのは大阪からやって来た方や、長崎からやって来た方など。出来るだけ世間話をしつつ周囲の状況や、こちらの土地について話していたのですが、そうこうしているうちにに気が付きました。

 間違いなく、僕が視覚障害者さんをガイドしているのですが、僕の肘を掴む手が不思議と僕に安心感を与えてくれている事に気が付きました。視覚障害者さんはガイドされながら歩くことに慣れているからか足取りに不安が無く、そのおかげで僕も安心してガイドが出来たのかもしれません。

 世間話の最中も、


Ghost

「今日初めてガイドをするんですよ。まだ不慣れなんで、もし歩きづらいようでしたら言ってください」


視覚障害者さん

「そうなんだ! でも大丈夫だよー」


 と言った感じに穏やかで、むしろ僕の方が安心させられます。ガイドする側の僕がガイドされる側の視覚障害者さんの存在に、心理的に頼っていた要素はかなり大きかったと思います。


 これはな感動であり発見だったので、起こった事をそのまま文章にしても中々人には伝わらないのかもしれません。いずれこのを想起させるような小説を描いてみよう(/・ω・)/



○盲導……犬? いや、犬の表情じゃねぇぞ!?


 イベントも順調に進み、お昼頃。ボランティアスタッフたちも昼休憩になりました。少々暇を持て余していた僕は会場内を散策していたのですが、ベンチに座っている視覚障害者さんと一匹の盲導犬の姿が目に留まりました。


 前回のエピソードでも少し書きましたが、盲導犬はハーネス(金属製のハンドル)を掴まれている時は仕事モード。リード(普通の犬にも着けられている紐)を掴まれている時はお休みモードです。


 その時の盲導犬はお休みモードで、ご主人である視覚障害者さんにじゃれて顔の辺りの匂いを嗅いでいるようだったのですが、その表情が何て言うか、凄かったんです。


 例えるならばみたいな顔をしている。

 確かに犬って他の動物と比べても感情表現は豊かだけど、その生き生きした表情とか眼差がもはや人間みたい……というか精神病で感情が死にかけてた昔の僕よりも人間らしい顔してんぞ(笑)




○バルーンと障害を総括すると……🎈


『風船の割れる音が怖い』

『動物にとって突然の音(風船の割れる音)はストレス』

 というバルーンの持つ課題から、視覚障害者さんのガイドへと繋がっていったわけですが、いまだにはたどり着けておりません。

 そりゃ、みんなが楽しめるエンターテイメントを見出すなんて簡単な事ではありませんから、そのへんは今後もゆるりと研究していく予定です。


 それはそうと、以前僕が参加したボランティア・フェアで事についてのヒントになりそうな出来事がありました。


 ボランティア・フェアに3度目の参加をした時の事です。

 イベントの終り頃、5、6歳くらいの女の子がバルーンで「弓矢を作って欲しい」とリクエストをくれました。

 この頃になると僕のレパートリーがちょっと増えて、バルーンを5つ使って、1メートルくらいの結構迫力のある弓矢の作り方をマスターしていました。

 作品自体が大きいからかバルーンを捻っているだけでパフォーマンスになるようで、作っているうちに10人ほど人が集まってきました。集まってきた人たちはお年寄り、ボランティアの高校生、親御さん、(多分)脳性麻痺で車椅子の男性、知的障害を持っている人……等々、性別も年代もバラバラ。健常者も障害者も関係なく集まってきました。


 そうこうしているうちにバルーンの弓矢が完成。女の子にあげると大喜びしてくれたのですが、その子が大喜びする姿を見て周りにいた人たちも笑顔に。

 女の子が弓矢でポーズをとればちょっとした撮影会が始まり、

「良い物貰ったね」

 と呂律の回らない言葉で女の子に話しかける車椅子の男性も凄い嬉しそうな顔をしている。


 そこには一つの喜びが次々に伝染した結果、喜びの空間が出来上がっていたように思います。きっかけは僕が作ったバルーン……言ってしまえば些細な風船一つでしかありません。

 これはバタフライ・エフェクト現象(風が吹けば桶屋が儲かる)に似ていて、直接バルーンで人を楽しませられなくても、バルーンから派生したものでいろんな人を楽しませることは出来るんじゃないか、という発見にもつながりました。

 ま、具体的に何をしたらいいのかはまだわかりませんけれど(/・ω・)/


 さて第2章ボランティアフェア編は、一旦これで完結。

 次回からは小さなイベントに参加しつつ、少しずつバルーンアートのレパートリーを増やしていく事になったお話を書いていこうと思います🎈

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