第12話 巨竜の大口作戦 解決編
「奴等が、付いて来れるか来れないかを維持して進めて!」
「わかりましたが結構、難しいですね。レインさん」
レインは第2防衛ライン撤退後の
ケンタウロスの輸送班の男が、苦笑いをする中、仲間を守りながらの逃亡は、レジスタンス時代からレインが1番上手かった。
「レインさんが来たぞ! 城門を閉じろ!」
レインが城門を通過するのと同時に城壁の弓兵が矢を放ち、三国同盟の騎兵が倒される。
矢が馬に当たり、落馬により首から落ちて死亡する兵が続出する中、三国同盟軍の本隊が合流する。
「な、なんだこの城壁は! 通常の倍はあるじゃろうが! 堀の深さはどうなっている?」
リヒャルドの命令に、兵士が堀に近づきしゃがみ込んだ時だった。
「何かに足を、た、助けてくれ! 何かいる! 助け……」
堀から手が伸び、引きづり込まれた兵士は帰って来なかった。
「堀に近づくな! 水中に何かいるぞ!」
水に数えきれない程の影が映り、何かがいるのはわかるが、影だけで正体まではわからない。
「リヒャルド殿! 堀は危険です、城門を破壊しましょう」
「キューブ殿、そうですな。しかし、なぜ攻撃して来ないんだ?」
最初の矢の後は、魔法や矢での攻撃はなく、不気味なほど静かだった。
「早く、城門を破壊せんかー!」
マドリー王が激怒しながら叫んでいた。
「城門は、守りが強固になるから破壊は難しいのは常識なのだが……」
魔法が存在する世界では、城門や城壁には魔法防壁を重ねて使い、強固にするのは常識だった。
リヒャルドが悩んでいると魔法部隊が様々な魔法を城門に叩き込み始めると、魔法防壁はあっさり破れた。
「なっ!」
城門が破壊されると同時に轟音と凄じい砂煙と共に地響きが起きる。
「なんだ今のは!」
尻餅を着いた、魔法部隊の集団が城門と自分の両手を交互に見ながら唖然としていた。
「城門が開いたぞ、突入するのだ!」
3人の王が、怒鳴りながら「遅いぞ!」や「早くするのだ!」とか発破を掛けてくるから兵士達は、急いで行動する。
「放て! 奴等を蜂の巣にしてやれ!」
砂煙のせいで視界が悪い中、急いで突入した多数の兵士が、城門を通過した先で待機していた、レイン達の矢が雨の様に放たれて、大量の死体を築く。
「待ち伏せか!」
恐る恐る、キューブ達が城門から中を見ると、遠くで退去するレイン達の後ろ姿が見えた。
「えっ! 逃げてますよ! リヒャルド殿!」
「あやつら、馬鹿にしおって! 追え!」
怒りに任せて、追いかけるリヒャルドをキューブとマクベスと全軍が追いかけていた。
合衆国の首都ユートピアは、街中に水路が流れていて大きな家が立ち並んでいた。
キューブは走りながら、家の隙間に壁が立ち並び、事実上、三国同盟軍は1本道を進んでいる状態にあった。
「まさか、城門が破壊された時の地響きはこの壁の為か……まずい罠だ」
かなり進んでから、キューブは気づいた為に、振り向くと城門の入り口が石壁で塞がれているのが遠くからかろうじて見えた。
「このままでは……」
退去しようにも兵士に押されて、進むしかなくどんどん先に進んでしまう。
突き当たりに、一際大きな建物が見えてきた。
建物の前は、広場になっていて、三国同盟軍の全軍が、余裕で集まる事が出来る程の広さがあった。
「地面が、下がり始めたぞ!」
全軍が広場に着いた時、地面が2メートル程下がりきった時だった。
「私は、カトリック合衆国の代表者、レイ・カトリックだ! お前達は、宣戦布告もなく、無断で我が国に侵略した! その罪は万死に値する!」
「なっ、どうゆう事だ」
「帝国の残党ではないのか?」
聞いていた話と違い兵士達が混乱し、場がざわめき始める。
「黙れ! 帝国の残党が!」
「お前達が黙らむか! 痴れ者が!」
三国同盟の王達が、罵倒し始めるが、一段大きなく、怒れる怒鳴り声がした。
レイの隣には、ヨーロシアン聖王国・国王ガリウス王とフラン連合王国・国王スメラウス王が立っていた。
「な、何か起きておる。何故王が2人いるんだ?」
リヒャルドとマクベスは、混乱していた。自分達の後ろに王達がいて、合衆国とゆう謎の国の代表者の隣にも自分達の王がいたからだ。
「レイ殿、頼む! あやつらの化けの皮を剥いでくだされ」
レイの隣にいる、ガリウス王が何かを頼むとレイがスイッチを押した。
「ぐあっ! お前達は何をした……」
苦悶の表情をする、王達と兵士の中にも苦しみで膝からぐずれる者が多数いた。
「苦しんでいる者を捕らえよ! 決して逃す事は許さん!」
レイの隣にいた、スメラウス王が叫ぶと兵士達は訳がわからないまま、捕らえ始める。
「死ね! レイ・カトリック! 貴様はここで終わりだ!」
顔が崩れ始めた、マドリー王の偽者が魔法を繰り出そうとするが何も起きない。
「無駄だ! マジックジャマー、我が国で開発された魔素を乱し、魔法薬や魔法を使用不可能にする、新たな技術だ!」
三国に密偵を送り出し、王達がゴットアベンジャーの下位組織と入れ替わっているのを突き止めたが、魔法薬で記憶の一部と瓜二つの姿に、証拠がないと無駄だと判断した。
王達が捕らえられた拠点は、厳重で助けるのは難しかったが、戦争中なら警備は手薄になる。
隠密に特化した、カイン隊とスタンリー隊なら無傷で救出できると考えた。
しかし、マドリー王は激しく抵抗した為に、拷問により死亡。
第1防衛ラインと第2防衛ラインで時間を稼ぎながら敵部隊を首都ユートピアにある、大統領府に誘導しながら敵の数を減らした、全軍集まる必要があったからだ。
マジックジャマーの仕掛けは、かなり大掛かりな物で簡単には移動できない。ユートピアの地下には、大掛かりな仕掛けと大迷宮が広がっていた。
「レイ殿、合衆国には本当に申し訳なかった」
「騙されていたとはいえ、あなた達も帝国に苦しめられたとゆうに……」
ガリウス王とスメラウス王は、合衆国が帝国と戦っていたレジスタンスが作った国と知り、今まで何もせずに助けなかったのに自分達と国を助けてくれた事に深く感謝した。
レイは、今までの全てをガリウス王とスメラウス王に話した。
帝国の裏で暗躍していた、ゴットアベンジャーの事。何より、奴等が魔素核兵器により、帝国が消した事。そして、三国にも彼等の魔の手が伸びている事。
作戦に協力して、三国同盟を助ける事を提案した所、協力してくれた。
兵士に紛れていた、下位組織の犯罪者達は即刻処刑したが、ゴットアベンジャーの幹部はいなかった。
「キューブ殿、お父上を助ける事が出来ず申し訳なかった」
「いえ、亡骸だけでも連れて来て頂き感謝いたします」
深く謝罪するレイを見て、キューブは合衆国との同盟を決意した。キューブは次期王になる、今回の事件と亡くなった父へ、合衆国が手厚い扱いをしてくれた事を知れば、反対する者はいない。
三国同盟を客人として合衆国は迎え、全員を返した。
後日、三国と合衆国で同盟と貿易が開始されたが対等な貿易と同盟を合衆国は望んだ。普通は有利な交渉をするのだが、末長く対等な立場の元でありたいと話した所、各国は感激し、お互い助け合うと話し合いが進んだ。
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