第三章 亡国の英雄達編

第1話 カトリック合衆国

 

 帝国の首都が、原子爆弾により消滅した時、生存者は1人もいなかった……

 政治の中枢を失った帝国は地図から消えた。


 周辺国の、ヨーロシアン聖王国、フラン連合王国、マドリー共和国の三カ国は、空白地帯になった帝国に進軍して略奪の限りを尽くした。


 他国に対抗する為に、地方の貴族達とウォル主体で″カトリック合衆国″を設立し、避難民の受け皿を作り始めていた。


 三カ国とカトリック合衆国の戦争に発展していた。通常だとありえない事だが、今まで帝国が行なって来た、略奪行為が現状を作り上げていた。


 新国家・カトリック合衆国の国境付近〜


「これは、聖戦である! 今まで、帝国の受けた屈辱を晴らす、聖戦である」


 ヨーロシアン聖王国の神父が叫びながら、逃げる農民の頭をメイスで砕いた。


「グハッ!」


 頭蓋骨が割れて、脳味噌を地面にばら撒きながら農夫は息絶えた。


「パバーー!」


「あなた……私達が、何をしたと言うのやっと解放されたと思ったのに……」


 子供を庇いながら、泣き、叫ぶ母親に神父は続けた。


「帝国の人間は全て罪人である。神により選ばれた我々が正義なのだ!」


 神父のメイスが、母親を振り下ろされそうになった時、誰か叫んだ。


「極神技・ソウルレギオン! 敵を全滅せよ!」


 広野を歩く男の周りには、青白い幽霊の軍団が現れて、神父達に斬りかかる。


「馬鹿な! 攻撃が当たらない。グハッ……」


 神父のメイスは、空を切るが幽霊達の攻撃は当たり神父を切り倒す。


 ヨーロシアンの聖騎士が、数多の幽霊達を見て呟きながら、後退り始めた。


「帝国の亡霊か……噂に聞いていたが、こんな者を倒せるのか?」


「アンデットに効く銀の武器を用意せよ! 聖水でも構わん、聖王国の名折れだそ!」


 聖水を投げて、攻撃をするが効かない。

 彼等は、ただの幽霊ではない不浄の者ではないので聖水は地面で割れるだけだった。


「撤退だ、撤退を開始せよ!グハッ」


 幽霊の軍団は、敵を切り続ける彼等が居なくなるまで……


 住民達は、新たなる恐怖が来たと思い、影から様子を伺っていた。


「みなさん、安心して下さい。私は、みなさんをスカウトしに、カトリック合衆国から来ました。レイ・カトリックです。元・独立解放前線のリーダーをしていました。我々は、様々な村や町を周り避難を呼びかけています」


「本当か? 本当に助けてくれるのか?」


「現在、新しい町を建築しています。仕事はたくさんあるので大丈夫ですし、住む場所も確保しています。ここにいたら他国からの侵略に誰かが倒れるでしょう」


 今回の襲撃だけではない。村人全員がわかっていた。全滅も充分に考えられる。


「わかった……あなたに従おう。いいな、皆の衆……」


「迎えの者が、もうすぐ来ますから待って下さい」


「なんで、もっと早く来てくれなかったの!」


 突然、子供がレイに泣きながら叫んだ。周りの大人は、誰も子供を止める事が出来なかった。少なからず、彼等も同じ事を思っていたから……


「早く来てくれてたら、パバはあいつらにやられなかったのに……」


「すまない、私達の国はできたばかりで、人が足りないんだ。だから、間に合わなかったんだ」


 自分が理不尽な事を言っているのは、子供にもわかっている。どうしようもない事も……


「だから、みんなでお墓を作った後、最後のお別れをしよう」


 父親を亡くした子供の頭を撫でながら村人達に話をしていた。



♢♢♢



 村人の墓を作り、亡くなった人を昇天させていると声をかけられた。


「相変わらずだね、王様」


「ウィンドラ、何回も言うけど大統領だよ、民主主義になったんだ。本当は、ウォル兄さんにやって欲しいんだけどね」


「君ぐらいだよ、王様をやりたがらないのに誰よりも働いている変わり者は……あと、アイカが探してたよ。説教だって、君もだよココ」


 ポケットから青い顔で飛び出し、慌てながらオロオロする。


「アイカママが怒ってる。まずい、どうしよう……レイパパのせいだから、一緒に謝ろう?」


 ココは、オレが技を使い始めた頃から、片言でしゃべらなくなった。感情も豊かになり、成長を感じる。

 

「わかったよ、ココ」


「じゃあ、みんなを連れ帰ろうか?」


「待ってくれ、そいつらはモンスターや獣人じゃないのか?」


 若い村人が、焦るように言った。


「我が国では、獣人やモンスターを言われている人も多数、国民として住んでいる。もし、彼等を傷つけた場合、死罪もありえる」


「なんだと、もし襲われたらどうするんだ?死んでからじゃ遅いんだぞ!」


「それはない。人間を喰う種族は、国民になれない。彼等も人間を襲ったら死罪になる。それに、国民には、ネックレスが渡される」


 ウィンドラが、村人にネックレスを見せる。たくさんの星と獣人と人間の手が握手している。これは、合衆国の国旗にもなっている。


「だから、君達もネックレスをつけて貰う。必ずだ分かったね」


「ああ、わかった」


 村人は納得していないだろう、まずは、意識改革をして行かないと改めて考えさせられる……


「まっ、しょうがないよ。最初はね。最近だとナーガの子と人族が結婚したからね。みんな、変わり始めているよ」


「ああ、どちらも理解すれば仲良くなれるんだ」


 合衆国では、差別や虐めをなくす為に、意識改革に力を入れていた。獣人やモンスター娘も同じ人だとわかるように苦労していた。


 そのおかげで最近、獣人やモンスター娘と結婚する人が増え始めていた。


「じゃ、いきましょう。合衆国に……」



♢♢♢



「なにを、考えているんですか?」


「全くだ、国の代表がふらふらと歩かられたら、何かあった時どうするんだ!」


 仁王立ちのウォルとアイカに、正座をするココとレイがいた。


「2人共悪かったよ、人手不足が深刻だからね。スカウトしに行ったんだよ。護衛にココを連れてね」


「そ、そうだよ。ココ達のコンビネーションがあれば怖い者、無しだからね」


 笑顔を引きずりながら2人で言い訳をするが火に油を注ぐ事になる。


「だからと言って、無断でいなくなるのは問題外です」


「最低限。我々に一言、言ってから出かけるんだ」


 2人の説教は続いたが、人手が足りないのは事実だった。急いで国を新しい場所に作ったせいで、人も資材も不足していた。


 その上、三カ国からの侵略に合衆国は頭を悩ませていた。

 説教が終わり、天井を見ながら打開策を考えるが悩みは解決しなかった。


「ハァ、何か手はないだろうか?」


「どうしたんですか?」


 秘書をしているアイカが、書類を大量に抱えながら話を進める。


「人材が圧倒的に足りない。兵士達に、訓練の一環として木材の確保はしているが……スカウトを進めるしかないかな……」


「アラクネ族が仲間になれば、助かりますがなかなか話は進んでいません」


「そうだね。今度、行ってみるよ」

 

「わたくしも行きますわ」


 勢いよく、扉を開けながらナターシャが入ってくる。ナターシャは、カインやスタンリーと一緒に軍にいる。元帝国領にいる人達のスカウトて他国の侵略を止めていた。


「久しぶりに、一緒に行きますわ」


「軍は大丈夫なのかい?」


「ええ、大丈夫です」


 たぶん、全て幼馴染の2人に押し付けたんだろうなと、思ったが2人の方がしっかりしているから大丈夫だろう。


「じゃあ、明日はアラクネ族に会いに行こう!」


「私も行きます。いいですね」


 肩に爪がめり込んで痛い。明らかに怒っているアイカがいた。


「わ、分かったよ、みんなで行こう」


 人手不足解消の為に、スカウトをしに行くが決まったが、問題は山積みだった。


 

 帝国の首都が、原子爆弾により消滅した時、生存者は1人もいなかった……

 政治の中枢を失った帝国は地図から消えた。


 周辺国の、ヨーロシアン聖王国、フラン連合王国、マドリー共和国の三カ国は、空白地帯になった帝国に進軍して略奪の限りを尽くした。


 他国に対抗する為に、地方の貴族達とウォル主体で″カトリック合衆国″を設立し、避難民の受け皿を作り始めていた。


 三カ国とカトリック合衆国の戦争に発展していた。通常だとありえない事だが、今まで帝国が行なって来た、略奪行為が現状を作り上げていた。


 新国家・カトリック合衆国の国境付近〜


「これは、聖戦である! 今まで、帝国の受けた屈辱を晴らす、聖戦である」


 ヨーロシアン聖王国の神父が叫びながら、逃げる農民の頭をメイスで砕いた。


「グハッ!」


 頭蓋骨が割れて、脳味噌を地面にばら撒きながら農夫は息絶えた。


「パバーー!」


「あなた……私達が、何をしたと言うのやっと解放されたと思ったのに……」


 子供を庇いながら、泣き、叫ぶ母親に神父は続けた。


「帝国の人間は全て罪人である。神により選ばれた我々が正義なのだ!」


 神父のメイスが、母親を振り下ろされそうになった時、誰か叫んだ。


「極神技・ソウルレギオン! 敵を全滅せよ!」


 広野を歩く男の周りには、青白い幽霊の軍団が現れて、神父達に斬りかかる。


「馬鹿な! 攻撃が当たらない。グハッ……」


 神父のメイスは、空を切るが幽霊達の攻撃は当たり神父を切り倒す。


 ヨーロシアンの聖騎士が、数多の幽霊達を見て呟きながら、後退り始めた。


「帝国の亡霊か……噂に聞いていたが、こんな者を倒せるのか?」


「アンデットに効く銀の武器を用意せよ! 聖水でも構わん、聖王国の名折れだそ!」


 聖水を投げて、攻撃をするが効かない。

 彼等は、ただの幽霊ではない不浄の者ではないので聖水は地面で割れるだけだった。


「撤退だ、撤退を開始せよ!グハッ」


 幽霊の軍団は、敵を切り続ける彼等が居なくなるまで……


 住民達は、新たなる恐怖が来たと思い、影から様子を伺っていた。


「みなさん、安心して下さい。私は、みなさんをスカウトしに、カトリック合衆国から来ました。レイ・カトリックです。元・独立解放前線のリーダーをしていました。我々は、様々な村や町を周り避難を呼びかけています」


「本当か? 本当に助けてくれるのか?」


「現在、新しい町を建築しています。仕事はたくさんあるので大丈夫ですし、住む場所も確保しています。ここにいたら他国からの侵略に誰かが倒れるでしょう」


 今回の襲撃だけではない。村人全員がわかっていた。全滅も充分に考えられる。


「わかった……あなたに従おう。いいな、皆の衆……」


「迎えの者が、もうすぐ来ますから待って下さい」


「なんで、もっと早く来てくれなかったの!」


 突然、子供がレイに泣きながら叫んだ。周りの大人は、誰も子供を止める事が出来なかった。少なからず、彼等も同じ事を思っていたから……


「早く来てくれてたら、パバはあいつらにやられなかったのに……」


「すまない、私達の国はできたばかりで、人が足りないんだ。だから、間に合わなかったんだ」


 自分が理不尽な事を言っているのは、子供にもわかっている。どうしようもない事も……


「だから、みんなでお墓を作った後、最後のお別れをしよう」


 父親を亡くした子供の頭を撫でながら村人達に話をしていた。



♢♢♢



 村人の墓を作り、亡くなった人を昇天させていると声をかけられた。


「相変わらずだね、王様」


「ウィンドラ、何回も言うけど大統領だよ、民主主義になったんだ。本当は、ウォル兄さんにやって欲しいんだけどね」


「君ぐらいだよ、王様をやりたがらないのに誰よりも働いている変わり者は……あと、アイカが探してたよ。説教だって、君もだよココ」


 ポケットから青い顔で飛び出し、慌てながらオロオロする。


「アイカママが怒ってる。まずい、どうしよう……レイパパのせいだから、一緒に謝ろう?」


 ココは、オレが技を使い始めた頃から、片言でしゃべらなくなった。感情も豊かになり、成長を感じる。

 

「わかったよ、ココ」


「じゃあ、みんなを連れ帰ろうか?」


「待ってくれ、そいつらはモンスターや獣人じゃないのか?」


 若い村人が、焦るように言った。


「我が国では、獣人やモンスターを言われている人も多数、国民として住んでいる。もし、彼等を傷つけた場合、死罪もありえる」


「なんだと、もし襲われたらどうするんだ?死んでからじゃ遅いんだぞ!」


「それはない。人間を喰う種族は、国民になれない。彼等も人間を襲ったら死罪になる。それに、国民には、ネックレスが渡される」


 ウィンドラが、村人にネックレスを見せる。たくさんの星と獣人と人間の手が握手している。これは、合衆国の国旗にもなっている。


「だから、君達もネックレスをつけて貰う。必ずだ分かったね」


「ああ、わかった」


 村人は納得していないだろう、まずは、意識改革をして行かないと改めて考えさせられる……


「まっ、しょうがないよ。最初はね。最近だとナーガの子と人族が結婚したからね。みんな、変わり始めているよ」


「ああ、どちらも理解すれば仲良くなれるんだ」


 合衆国では、差別や虐めをなくす為に、意識改革に力を入れていた。獣人やモンスター娘も同じ人だとわかるように苦労していた。


 そのおかげで最近、獣人やモンスター娘と結婚する人が増え始めていた。


「じゃ、いきましょう。合衆国に……」



♢♢♢



「なにを、考えているんですか?」


「全くだ、国の代表がふらふらと歩かられたら、何かあった時どうするんだ!」


 仁王立ちのウォルとアイカに、正座をするココとレイがいた。


「2人共悪かったよ、人手不足が深刻だからね。スカウトしに行ったんだよ。護衛にココを連れてね」


「そ、そうだよ。ココ達のコンビネーションがあれば怖い者、無しだからね」


 笑顔を引きずりながら2人で言い訳をするが火に油を注ぐ事になる。


「だからと言って、無断でいなくなるのは問題外です」


「最低限。我々に一言、言ってから出かけるんだ」


 2人の説教は続いたが、人手が足りないのは事実だった。急いで国を新しい場所に作ったせいで、人も資材も不足していた。


 その上、三カ国からの侵略に合衆国は頭を悩ませていた。

 説教が終わり、天井を見ながら打開策を考えるが悩みは解決しなかった。


「ハァ、何か手はないだろうか?」


「どうしたんですか?」


 秘書をしているアイカが、書類を大量に抱えながら話を進める。


「人材が圧倒的に足りない。兵士達に、訓練の一環として木材の確保はしているが……スカウトを進めるしかないかな……」


「アラクネ族が仲間になれば、助かりますがなかなか話は進んでいません」


「そうだね。今度、行ってみるよ」

 

「わたくしも行きますわ」


 勢いよく、扉を開けながらナターシャが入ってくる。ナターシャは、カインやスタンリーと一緒に軍にいる。元帝国領にいる人達のスカウトて他国の侵略を止めていた。


「久しぶりに、一緒に行きますわ」


「軍は大丈夫なのかい?」


「ええ、大丈夫です」


 たぶん、全て幼馴染の2人に押し付けたんだろうなと、思ったが2人の方がしっかりしているから大丈夫だろう。


「じゃあ、明日はアラクネ族に会いに行こう!」


「私も行きます。いいですね」


 肩に爪がめり込んで痛い。明らかに怒っているアイカがいた。


「わ、分かったよ、みんなで行こう」


 人手不足解消の為に、スカウトをしに行くが決まったが、問題は山積みだった。


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