第10話 教授
帝国首都・処刑場近く〜
ハーピー達に救出された、銀翼達とウォルと老人は説明を受けていた。
「レイとカインがあの広場で戦っているのか? オレも戦わなければ……」
立ち上がろうとするウォルだが、長年、幽閉された事で体力がなく、ふらふらしているので、マーシュが肩を貸す。
「ウォル殿、無理はいけない。我々、銀翼に任せて休んでいて下さい」
「すまない。私は、足を引っ張ってばかりだな……2人に責任を押し付けてばかりだ。マーシュ殿、頼みます」
自分の不甲斐なさに涙するウォルに力強くうなずくとハーピー達に話しかける。
「すまないがウォル殿を、安全な場所と治療を頼みたい。我々には、武器を下さい。カイン達に借りを作りぱなしだと笑われてしまう」
「その通りだ」
「やられた分はやり返してやるわ」
「あなた達の武器なら、取り返してきたよ」
ウィンドラが、空から大きな荷物を背負ってやって来た。ハーピー隊は、武器庫に侵入して銀翼の武器を回収していた。
「はい」
「ああー、間違いなくオレ達の武器だ! これなら全力で戦える」
「ボクは、ウォルさんを連れていくから、みんなあとは……」
「その、必要はないじゃろう!」
突然、老人が大声で話を始めた。
「なるほど、獣人の能力に合わせて作戦を立て隠密性を高めていた訳ですか。実に理にかなっているな、今後の研究テーマに追加しよう」
老人の声が、話をしながらどんどん若くなっていく、体をクネクネ曲げながら骨が鳴り始めた。
バキ、バッキ、バキ、バッキ!
見るうちに変化が始まる。
「早く、ウォル殿を連れて早く逃げろ!」
「うん」
ウォルの肩を足でガッチリと掴みウィンドラは飛び立つ。
老人だった男は、胸ポケットから片眼鏡を取り出し付けながら肩を鳴らしていた。
「いや〜、便利ですが肩コリが難点のようですね今後の課題にしましょう」
「お前は誰だ、始めからおかしいと思っていたんだ。お前のような老人は知らない!」
人差し指をチッチッチとしながら男は言った。
「情報は新鮮じゃないと意味がないんですよ」
♢♢♢
処刑場ではレジスタンスと帝国の激しい戦いが続いていた。
ガスラ将軍とレイの戦いを繰り広げていた。
キィン、キィン、キィン!
「なぜだ? これほどの力を民の為に使わないんだ将軍!」
「私の力は、閣下の為だけにあるのだ。民草などの為にあるわけではない」
「この、わからずやが! 行くぞ、ココ!」
「うん、レイパパ!」
ココの超音波を剣に霊能力で纏い斬撃と共に飛ばした。
超音波を組み合わせた、戦いが出来ないかと練習していた時、偶然に編み出した技だった。
「これはまずい! 秘技・パーフェクトガード!」
盾で斬撃を止めるが勢いが凄く地面にめり込み、タイルを壊しながら後ろに引きずられる。
砂煙が立ち昇り、現れたガスラの盾は割れたが無傷だった。
「反逆者の癖になかなかやりおる……ここまではな!バースト!」
赤い
「な、早い!」
赤い闘気のガスラの斬撃を受けるのが精一杯で、攻撃ができない。
キィン、キィン、キィン、キィン!
壁まで追い詰められた時に、敵の老人に切られそうになっているアイカが見えた。
「アイカーー!」
「なっ、なにー! バーストだと!」
青白い闘気を纏い、ガスラを吹き飛ばして一気に老人まで距離を詰めて切り裂いた。
老人から、木片が飛び出し粉々になる。
「「「!?」」」
「人形!」
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
尻餅をついているアイカを抱き起こして引き寄せながら、安堵していた。
「君を失ったかと思った……」
抱き合う2人を無視して奴隷商人の残骸を調べるガスラは、信じられずにいた奴隷商人の老人はどう見ても人間だった。
「人の皮膚だと……私まで欺いていたのか」
「あーあ、バレてしまいましたか……」
戦場の空気が凍りつく程の圧力を放つ男が、誰かの頭を鷲掴みにしながら歩いてくる。戦う事を忘れてたその場いた全員は、男を見ていた。
「彼は返して上げます。きちんと受け取ってくださいね!」
投げ飛ばされた人を見て驚愕するしかなかった。銀翼のリーダー・マーシュが、瀕死の状態だった。
「大丈夫ですか?」
「レイくんか? ウォル殿は、逃したが……仲間がヤツに……すまない」
マーシュの涙で全てを察した。銀翼のメンバーはもう……
「貴様は、何者だ! 将軍である、私まで欺くとは許さんぞ!」
「ガスラさん、それが皇帝閣下の意向てもですか? 私は閣下の意向で動いてるんです。ねぇ? 閣下?」
片眼鏡の男の後ろから、1人のきらびやかなロープの男が現れる。
「閣下、なぜ? ここに……閣下は病で伏せっているはず……」
「そう、設定したんですよ、我々がね?」
片眼鏡の男が、皇帝の顔をペリペリと引き離すと人形になった。
「このようにね……残念でしたね。将軍」
「貴様! 許さんぞ! フルバースト」
凄じい赤い闘気を纏い、ガスラが片眼鏡の男を切り掛かる。
「奥義・
キィン!
斬撃を刀で受けた。
「極技・
鎧が斬撃で砕けていき、武器は粉々になりガスラは血だらけになりながら倒れた。
「残念でしたね。将軍」
虫の息のガスラを無視しながら、男はレイに話しかけながら歩く。
「君がレイくんですね? ″ラッキースター″の弟でしょ? 私は、彼女のお目付役で組織では、″教授"と呼ばれている」
教授が放つ、異様な雰囲気に全員が動けないでいた。
「後片付けに来ただけだから、君とは戦わないよ。今から、1時間後に特殊な砲撃が帝国に発射される。君には、原子爆弾と言った方がいいかな?」
「核か?」
「正確には、核じゃないよ。放射能はないが威力は同じかな? 魔素で作った最高傑作なんだ。名付けて″マテリアル原子爆弾″かな。逃げる事を進めるよ。ラッキースターが君を直接、殺したがっていたからね。じゃあね」
教授が消えたあと、逃げるようにみんなに知らせるレイだが伝わらない。爆弾発射まであと、1時間を切っていた。
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