獣人の女の子やモンスター娘が好きなのに迫害されていたので全力の霊能力で無双した!

カラッと唐揚げ

第1章 幼少期編

第1話 霊能者、死す

 

 霊能者。

 霊能力、あるいは、超能力と呼ばれ、現代では説明不可能な未知の能力の総称である。


 私、心開 明もTVなどの心霊番組に呼ばれる事が多い″奇跡の霊能者″だ。


「悪霊がいます」


「本当ですか? 心開さん」


 司会を務めるお笑い芸人に質問されて、数珠をジャリと鳴らしてから、力強く言い放った。


「かなり強い悪霊です! 私から離れないでください、結界を作ります!」


 TVの心霊番組で山奥の廃墟になったホテルで、アイドルと司会者の芸人と私にフタッフが10数人で、心霊特番のロケをしていた。


 私は、九字の印をしながら盛り上げる。

 見せ場を作り、新人のアイドルを怖がらせてから、収録は無事に終わった。


 まあ、夏の特番は大概がヤラセだ。最初は抵抗があったが、最近は慣れた。


 台本どうりやれば、いいのだ。


「いや〜、今日は盛り上がって、助かりました。先生!」


 番組プロデューサーが、ニコニコで話しかけてくる。


「そうですか。お祓いは済ませましたから、安心して下さい」


「さすが、先生! 仕事が早い、今後、ゆっくり飲みに行きましょう!」


 昔から陽気な人で、酒好きなプロデューサーがジェスチャーをしながら笑っていた。


「楽しみに待ってますよ。では、また何かあれば呼んで下さい」


「約束ですからね、心開先生〜」


 無事にロケが終わり、ロケバスで帰る。


「はぁー!」


 深い溜息が自然に出る。昔は、ヤラセなんてしなかった。私は本物の霊能者だ。

 子供の頃は、人間と霊が分からず話しかけていたが、今はそんな事はない。


 TVで本物の霊が写すのは、NGでお蔵入りになる。

 心霊特番で本物はダメ。昔は意味がわからなかったが、今はわかる。みんな、ちょと怖いぐらいでいいのだ。


 ロケバスから見える夜景を、見ながら高速を移動していたが、突然クラクションが鳴る。

 目の前で、車のライトとクラクションで、頭が真っ白になった。


 耳には、金属がぶつかる音が響いていた。


♢♢♢



 目がボヤける。

 そうか、交通事故で死んだか?


 ここがあの世か?

 誰かが、顔を覗き込んでいる。

 誰だ? マネージャーかな?


「あーあーあー?」


 喋れない。

 どうなっている?

 フワッと持ち上げられる。

 

 ショートヘアの目がくりっとした。

 7歳ぐらいの猫耳の女性が、私を持ち上げる。


「かわいい子ですね。奥様、お名前は何と言うのですか?」


「レイよ。レイ・カトリックよ」


 藍色のロングヘアの女性が言った。

 私はどうやら輪廻転生したようだ。

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