夏が近づく、気が逸る

 夏が近づく

 まだ気が早いって

 君が笑った皐月


 夏が近づく

 気が逸る


 夏が近づく

 もう諦めなって

 顔をしかめた水無月


 君が恋しかった

 さよならした

 となりがさびしい文月


 君は彼女のものになった葉月


 夏は熱の衝動

 アスファルトには逃げ水の陽炎


 届いた季節は

 思い描いた日々とは

 程遠かった


 熱気と

 世間を飲み込むほどの熱さで

 忘れてしまえ


 君といた

 たったの数ヶ月


 思いでほど

 過ごした時間もない


 たとえ

 胸の想い焦げた

 いっしゅんいっしゅんも


 夏の熱さに溶かしてしまえ

 波音に流せ

 胸を震わせた残響


 倒れそうなほど、夏





 

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