潮騒

 まばゆい太陽が

 じりじりと焦がす 盛夏は間近か

 夏は、

 好きだ


 灼けた砂粒が足の裏を残酷に 刺激する砂浜を

 大急ぎでアチアチ言いながら

 波打ち際まで駆けぬけて


 あっという間に過ぎ去ってしまう

 夏を 胸の奥に

 刻み込むべく


 夏を 胸のうちに

 閉じ込めるべく


 暑さも潮騒も

 思いっきり 浴びて


 隣りの君の

 水着姿は直視できないけれど

 華奢な手を掴んでみたりした


 汗の玉も 溶けるソーダアイスの甘いしずくも

 しょっぱい海の波飛沫も


 みんなみんな

 ぜんぶぜんぶ

 まぶしい


 ニョキニョキ山から

 海の向こうはえてくる

 入道雲


 反射する海面

 やけにキラッキラでさ


 水面に浮かぶヨット

 波乗りサーファーたち


 僕の肩には

 気づけば君が肩を寄せて預けてる

 想い


 ドキドキ、だ

 胸の高鳴り、だ

 暑くきらめく目がくらむほどの

 真夏にも

 潮騒にも

 僕のドキドキが

 包まれ 巻き込まれ


 溶け込んでいる


 まばゆい太陽が

 じりじりと焦がす 盛夏は間近か

 夏は、

 好きだ

 君が、

 大好きだ


 ドッキドキも 大好きも

 夏の潮騒に

 ふたりの思い出のなかに

 溶け込んでいく





 

 

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