春の雨降る
『人に大切にしてもらった記憶って
残ると思うんだよね』
ポタポタ
ぴちゃん
弱く優しく
春の雨が降る
柔らかい陽射しが
恋しい
春雨続く
四月半ば
夢も恋も
仕事も
思い描く道半ば
中途半端
『人に親切にしてもらった記憶って
残ると思うんだよね』
時々
やるせなくなる
伸ばして求めた手には
なにも掴めていないから
そんなに誰かを楽しませても
助けてもない人生
もっともっと
人の役に立ちたいのにな
もっともっと
笑顔が見たいのにな
喜んでもらいたい
ただそれだけなのにな
無力で
打ちひしがれる
『人に愛してもらった記憶って
残ると思うんだよね』
君は言った
春雨に自ら飛び込んで
濡れながら
私に貸してくれた折りたたみ傘
小さな幸せ
届けたいんだ
少しずつ
僕に出来ることを
重ねていきたいんだ
君は
全身濡れてく
君が笑う
『頑張っている人は自分が頑張っていることに、案外気づかないものさ』
君がフッと
哀しげに笑う
私はドキリ
見過ごさなかった
『芯から疲れている人は自分が疲れ切っている事に、すぐには気づかないものさ』
さあ、笑って――
細かい雨はやがて君の姿を
かき消してしまった
いつの間にかの涙
滲み歪んだ景色
春の雨の音が優しい
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