満月夜に幻影夢

 深い闇間の静寂しじま

 とろりと落ちる意識


 誘う声は

 夢かうつつか


 月光が差し込む

 窓辺に

 佇むあなたの横顔


 ほの明るい光は

 あなたをぼんやりと

 幻想的に映し出す


 おかえりなさい


 今夜は命日

 満月の奇跡


 ただ微笑むあなたは

 現し世の人ではない


「目覚めてしまいましたか」

「おかえりなさい」

「起こすつもりはなかったのだよ」


 良いのです

 つかの間の逢瀬ですから


「一目、逢いたくなってね」


 たとえ

 あなたが幻であっても


「まだ帰らないで」


 たとえ

 わたしの夢物語であっても



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