この瞬間、私だけの舞台
モップを床に置き、深く息を吸い込んだ。
「“ならば、誰が彼を殺したというのか!”」
がらんどうとした空間に、余韻を引きずりながら声が響く。客もいない、背景も大道具もない。何なら私の台詞ですらなかった。それでも胸に高揚感が込み上げた。
たった一言の主演を終え、私は掃除を再開した。
【お題:劇場】
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