波打ち際へ告白


 すき、と書いてみる。途端に海水が押し寄せ、静かに引いていった。残ったのはぐずぐずに溶けた不格好な文字。

「……消えてくれないもんだな」

 波にさらわれてしまえばいいのに、柔くもろいはずの砂は案外しぶとい。

「何してるのーっ? 早く早く!」

「今行く!」

 呼ばれるままに僕は駆け出した。



【お題:海】

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