第380話 ゴードン、記憶を消される
ゴードン 「……う…う……お? これは……?」
ヴェラ 「良かったわね、これで勘弁してくれるって」
ミィに心臓を一突きされ、死んだはずのゴードンは、リューの巻き戻しによって蘇生させられていたのであった。
ミィ 「一度はあなたを刺し殺しましたから、それで許します。十分恨みが晴れたとは言えませんが、……心臓を貫く刃の感触を忘れないで下さい」
ゴードン 「ミィ、こんな俺を、許してくれるのか……? ミィ……おお、ミィ! 俺は…俺は本気なんだ」
ミィ 「?」
ゴードン 「俺は! 本気になってしまったんだ! お前に! ミィ、お前を愛してるんだ! どうか、俺と、俺と結婚してくれないか!!」
ミィ 「…ゴードン!」
ゴードン 「ミィ!」
ゴードンが両手を広げて立っている。そこに向かってミィが小走りで近づいていく。
ヴェラ 「…ミィ?! まさか?」
次の瞬間、ゴフッ! という音とともに、ミィのパンチがゴードンの顔面にめり込んでいた。
もんどり打って倒れるゴードン。
ミィ 「気持ち悪くて思わず殴ってしまいました」
ヴェラ 「そうよねぇ」(笑)
ミィ 「殺すほどではないかなと思ったけど、それとこれとは話が別よ! 私を抱いた記憶も全部消したいくらいなんだけど!?」
リリィ 「それなら、アタイができるよ?」
リュー 「リリィ! どうやってここに? 出入口なんかないはずだが」
リリィ 「あんたの従魔に連れてきてもらったんよ」
傍らにパーシヴァルが立っていた。
リリィ 「闇の空間? てのに入るのはちょっと勇気がいったけどねぇ。てか、また私を仲間はずれにして! パーティに入ったんだから、ちゃんとアタイも連れてってよ!」
リュー 「いま、記憶を消せるとか言ったか?」
リリィ 「無視かーい。まぁいいけど。実は、アタイは、精神干渉系の能力を持ってるんだよ」
リュー 「ほう?」
ヴェラ 「闇属性の魔法ね。もしかしてあなたも、隷属の魔法を使えるの?」
リリィ 「まぁ、ね……。魔法というか、
ヴェラ 「奴隷ギルドと昔関わりがあったって言ってたのはそのせいだったのね」
リリィ 「そうよ、アタイもかつては奴隷ギルドの職員だったのよ。まぁ、色々あって辞めたんだけどね。逃げ回ってるんだけど、今でも戻ってこいって煩いのよねぇ……」
リューは、リリィの精神干渉系の
神眼の能力をフルに発動すれば見えない事はないだろうが……
おそらく、精神干渉系の
リリィ 「その
…というわけで、ゴードンの、ミィの身体に関する記憶、消してみようか。
…何? 嫌そうね? 折角の良い思い出を消されたくない? ミィが嫌がってんだから駄目にきまってんでしょが!」
後退るゴードンだったが、いつの間にか後ろに回っていたランスロットとパーシヴァルに肩と腕を掴まれ、動けなくなってしまう。
リリィ 「じゃ、いくね~オッサンと見つめ合うのはあんまり気持ち良いもんじゃないけど」
リリィがゴードンの額に額をくっつけ、目を見つめる。リリィの目が魔力を帯びてうっすら光ったように見えた。
リリィ 「…終わったよ。抵抗するからちょっと大変だったけど。ま、当然か、男だからね。せっかくこんな可愛い娘と楽しい事したのに、それを忘れてしまうなんて、嫌だよねぇ」
意地悪く笑うリリィ。ゴードンは床に手をつき、項垂れていた……。
ゴードン (くっ……なんてことだ! 完全には消えていないが、ミィとの記憶が……主にベッドでの事が、モヤがかかってはっきり思い出せん……)
ランスロット 「ところで、命を助けてあげる代わりに、あなたにはお願いしたい事があります」
ゴードン 「……なんだ?」
リュー 「奴隷ギルド本部に、俺達についての報告をあげてもらおうか」
ランスロット 「報告というより、警告、ですね」
リュー 「俺達に手を出す “隙” は一切ない。危険過ぎるから一切手出し無用と言っておけ。俺の関係者に手を出したら、タダでは済まんとな」
リュー 「まぁ、それで引くとも思ってないが、一応警告は伝えておこうかと思ってな。俺からのメッセンジャーってわけだ」
ゴードン 「そんな報告をしたら、俺が無能扱いされてしまう」
リューはランスロットが持っていたランドの生首を掴んで持ち上げて見せた。
ゴードン 「う…分かった」
ゴードン (奴隷ギルドも潮時か……)
― ― ― ― ― ― ―
次回予告
リュー、集金に行く
乞うご期待!
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