第371話 指名依頼? そんなのあるの忘れてた

ランスロット 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャン」


ヴェラ 「呼んでないけどね。てかその登場はもうええっちゅうの」


ランスロット 「呼ばれてもいないのに飛び出てきたのは、ちょっと、リリィさんに質問がありましてね」


リリィ 「アタイに? なんだい?」


ランスロット 「Sランクの認定の事ですよ。試験は合格という事でよろしいのですかね?」


リリィ 「ええそうね、Sランク昇格おめでとう。明日、ギルドで身分証ギルドカードを更新させましょう」


ミィ 「…え、Sランク?!」


リリィ 「ああ、リュー達は今日からSランクの冒険者になったんだよ」


ミィ 「すごい……」


モリー 「おめでとうございます! ヴェラさんもSランクに?」


ヴェラ 「私はDのまま~」


モリー 「え? ランクアップ試験、一緒に受けなかったんですか?」


ヴェラ 「リュー達と一緒にされても困るわよ。まぁAランクくらいにはすぐになれるとは思うけど、ランクアップにあまり興味はないのよねぇ、何も良い事がなさそうじゃない? Cランク以上になると貴族や王族からの指名依頼とかあるしね」


モリー 「そうなんですね……」


ヴェラ 「あなただって、下手に聖女認定されたら面倒な事になるでしょう? 教会本部に囲い込まれて自由がなくなるわよ?」


モリー 「なるほど確かに! …でも、リュー様達は大丈夫なんですか?」


ヴェラ 「リューの場合は、逆に低ランクで居ることのデメリットが大きくなってきちゃったからねぇ……低ランクだと舐めてかかってくる奴が多いし。絡まれる度にその都度〆てやってもいいんだけど、それも面倒になってきたんでしょ」


そこにリューが戻ってきた。


ヴェラ 「子供達は?」


リュー 「スイッチ切れて寝落ちしたからクリーン掛けてベッドに転送しといた。ところで……リリィは冒険者ギルドからの指示で動いてるとか言ってたよな、奴隷ギルドを探る任務を受けているのか?」


リリィ 「…ああ、そうだよ。奴隷ギルドは、今、あらゆる場所に奴隷工作員を忍び込ませて世界を裏側から支配しようとしてるんだ」


リュー 「支配?」


リリィ 「ああ、このミィのように、一見して奴隷だと分からない “隠れ奴隷スパイ” が、冒険者やギルド職員のフリをして、各地のギルド内に入り込んでいるんだ。冒険者ギルドだけじゃない、商業ギルドや行政機関、貴族・王族の召使いにまで、あらゆる場所に入り込んでいると睨んでる。


ただ、これまでは、王族貴族が奴隷ギルドとズブズブだったから、奴隷ギルドにはなかなか手が出せなかったんだ。


だけど、今の王になって、少し状況が変わった。そしてさらに、リュージーンという謎の冒険者の登場もあってね」


ランスロット 「つまり……


…私達に、Sランク認定をしてやる代わりに奴隷ギルドを潰させよう、という事ですかな? 指名依頼を出す予定がある、と」


リュー 「指名依頼か……それを忘れていたな」


ヴェラ 「忘れてたんかい……」


リューは長く指名依頼を受ける義務はないEランクだったので、すっかり忘れていたのであった。


リュー 「まぁ、気に入らない指名依頼など断るがな。というか、基本、指名依頼なんて受ける気はない」


ヴェラ 「断ったりしたら色々ペナルティがあるんじゃ? 降格させられたりとか?」


リュー 「別に構わんさ。ランクにそんなに固執してるわけじゃない。そもそも、なんでランクアップしようと思ったんだっけ?」


ランスロット 「低ランクだと舐められる事が多いので面倒になったんですよね?」


リュー 「…そうだった…かな……? よく覚えてないが」


モリー 「覚えてないんですか」


リリィ 「大丈夫、指名依頼なんて出す予定はないはず。言ったでしょ、Sランクは認定済、別に奴隷ギルドの件は交換条件ではないって。


それにね……既にアンタは奴隷ギルドと敵対している状態だからね。黙っててもそのうち巻き込まれるでしょ。


既に相手はエージェントを派遣して、ミィを使って探りに来てるわけだし」



― ― ― ― ― ― ―


次回予告


「リューサマ、奴隷ギルド潰しますか? 軍団レギオン使えば造作もない事」


乞うご期待!



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