白本:赤ずきん

ものかくれ

赤ずきん

ある村の外れの森に、『赤ずきん』と呼ばれいる女の子がいました。

赤ずきんはいたずら好きで、よく村に行っては迷惑ばかりかけていました。

見かねた村の人は赤ずきんに、

「おばあさんにこれを届けてほしい」と頼みました。

赤ずきんはりんごなどが入ったかごをもらって、仕方なく届けに行くことにしました。


赤ずきんが森に入ってしばらく歩いていたら、一匹の狼と出会ってしまいました。

狼は赤ずきんに、

「いたずらにうってつけの物がある」と言って、おばあさんの小屋とは違う方向の道を指さしました。

赤ずきんは、狼が指さした道を進んでしまいました。

その道を進んだ先には、長い棒や袋などがたくさん置いてありました。

それを見た赤ずきんは、はしゃぎながらかごに詰め込みました。

ですがかごには全部入りませんでした。

赤ずきんは「1個くらい少なくてもばれない」と思い、りんごを1個落としていきました。

思わぬところでいたずら道具が手に入って、うれしい赤ずきんは鼻歌を歌いながらおばあさんの家に向かいました。


おばあさんの小屋に着いた赤ずきんはいたずら道具を家の前の鉢に隠して戸を叩きました。

「おばあさんおばあさん、りんごを届けにきましたわ」

赤ずきんはそう言って上機嫌で戸を開けました。

おばあさんはベッドで寝込んでいて、顔だけ出して言いました。

「ありがとう、そこに座ってくれるかしら。」

上機嫌な赤ずきんはベッドのそばに置いてあった椅子に座り、机にりんごの入ったかごを置きました。

おばあさんは少し咳をしてから、

「りんごを切ってくれるかしら」と言って、包丁とまな板の場所を差し示しました。

赤ずきんは言われた通りの場所から取り出し、小さな机でりんごを切り始めました。

鼻歌交じりにりんごを切っている赤ずきんにおばあさんはこう言いました。

「とてもうまそうだ。」

「きゃあああ!!」

おばあさんに化けていた狼が赤ずきんを丸のみにしてしまいました。

おなかがいっぱいになった狼はそのまま寝てしまいました。


「なんだ!?」

赤ずきんの悲鳴を聞いた猟師が小屋に入ってきました。

おばあさんの格好をした腹の膨れた狼を見た猟師は、すかさず狼を殺しました。

机に置いてあった包丁で狼の腹を開き、中のおばあさんと赤ずきんを助けました。

「大丈夫か!?」

猟師は意識を失っている二人の肩をつかみ、何度も呼び掛けました。


しばらくして赤ずきんが目覚めました。

赤ずきんは見ず知らずの猟師に助けられて一命をとりとめました。

でも、赤ずきんが起きた時にはもう猟師の姿はありませんでした。

赤ずきんは今までの行いのせいで、自分とおばあさんが危ない目に遭ったと思い、見ず知らずの猟師に感謝を伝えるため、これからは悪いことをしないと誓いました。

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白本:赤ずきん ものかくれ @monokakure

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