高校三年間、一度も会話をしたことのない僕の話

西辻 東

プロローグ

 僕は高校生活において、一度も「会話」をしたことがない。だから僕が高校生活で会話をする場面は一切登場しない。これは初めに断っておく。


 それは、クラスメイトに対する呼応でさえ、教師に対する返事でさえ、授業中の指名に対してでさえだ。



 なぜか?



 理由は単純だった。「神」がそう言ったからだ。


「神」は、僕に高校三年間、「会話」の禁止を求めた。


 しかし、代わりに、その条件を満たせば、僕は何でも願いを一つだけ叶えてもらうという報酬が与えられていた。



「神」とは誰で、僕の願いとは何か、それを今から語る。

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