第26話 逝き遅れ


七日の命と鳩が言う。

「七日経っても死ねないのなら、

君は立派な逝き遅れ」


七日の命と猫が言う。

「七日経っても死ねないのなら、

君はめでたく不良品」


七日の命と君が言う。

「七日経っても死ねないのなら、

君は確かに終わってる」


七日経ってもいつまで経っても、

僕はずっと僕のまま。

四十九日を迎えた時点で、

逝き残ったのは僕ひとり。


鳩も猫も君も

虫も花も土も

僕以外の全て

七日間を全うしたのに。


僕はここでひとり、

膝を抱えて座り。

誰もいない事実を、

確認していた。


逝き遅れた僕は、

不良品の僕は、

確かに君の言った通り、

既に終わってたみたいだ。


誰もいないここは、

何もなくなったここは、

世界の盲点だ、ごみ捨て場だ。


収集されない僕は

座り込んだまま、

鳩と猫と君のことを想った。

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