第19話 お疲れさまね、残念でした。


何でここにいるんだろう。

どうして迷い込んでしまったのか、

いつになったら出られるのか、

全てがどうでもよくなって、

ふと、立ちつくした。


何度袋小路に追い詰められて、

間違えた一本道を歩いてきて、

最後はいつも同じ場所に戻ってくる。

その度に、ここがどこか忘れて

同じ間違いを繰り返して、

終わったあとで、

そうだったと気がついて。

何度も何度も似たような道を往復する。


誰かに強制された道を、

誰かに勧められた道を、

自分で決めたと思い込んだ道を、

結局何も変わらない道を、

歩き続ける。


そうしていつか出口や終わりが

やってくるのだと勝手に決め付けて、

今日も重苦しい息を吐いて、

複雑に見える直線の上を

綱渡りする。


右に行っても、左に行っても、

前を行っても後ろを行っても、

全て同じ道につながっていて、


自分の選択は全て無意味なのかと、


怖くなる。


目をつぶって、その場に座り込んでも

誰も助けてはくれない。

誰も見つけてはくれない。

声を上げても、泣き喚いても、

誰も答えない。


唯一、聞こえてくるのは

自分と同じように叫んでいる、

誰かの悲鳴。

誰かの嘆き。

それに答える余裕は無いから、

無視をして聞こえない振りをする。


広い広い迷路の中で、

誰とすれ違うことも無く、

壁にぶつかったり穴に落ち込んだり

よじ登ったり滑り降りたり。

終わりを目指して、歩いていく。

先へ先へ先へ。




いつか見える出口。

いつか見たような看板。

殴り書かれた乱雑な文字。



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