うんめいのひと

もりた りの

第1話 神様のお言葉

 わたしがまだ幼稚園に通っていて神様を見ることが出来た頃、白い神様がわたしに言いました。

「運命の人と結ばれたとき、おまえは死んでしまうよ」と。


「うんめいのひととむすばれる」

 この言葉の意味が分からない幼稚園児のわたしは、そのまま覚えました。わたしは言葉の意味をお父さんに尋ねました。

「それは、好きな男の子と手をつなぐことだよ」

「”好きな男の子”と”手をつなぐこと”」

 わたしはお父さんが言った言葉を繰り返しました。

 それから、わたしは男の子と手をつなぐことが出来なくなってしまいました。

とくにお遊戯の時は、全く困ってしまい、男の子と手をつなごうとしても手が震えて前に手を出せませんでした。後ろに手をやり、汗がしたたるほど左の手と右の手をぎゅっと握っていました。目の前の男の子と幼稚園の先生は、理由が分からずに困ってしまいました。

 いつの間にか周りの遊んでくれるお友達がいなくなってしまいました。

 冬になって幼稚園の行き帰りに手が凍えないようにと、お母さんが手袋を買ってくれました。この手袋がとても大好きになりました。特に柄や生地が好きな訳ではなかったのですが、手袋をしていれば誰かと手をつないでも、手をつないだことにならないことにならない気がしました。

 家を出てから家に帰るまで、ずっと手袋をしていました。

 冬が過ぎ、春が来てもずっと手袋をしていました。

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