グリードエンプレス〜転生したら悪役令嬢だったので王女を毒殺したいと思います〜

第1話 用法用量を守って正しくお使い下さい

　友人が夜眠れないと言っていたので、睡眠薬を処方してあげた。

　私は医師ではなく、単なる女子高生だ。市販薬を適当にバラして作る。分量は適当。でも効果はてきめん。その子は安眠できて一件落着。

　どれくらいかというと、白昼自転車に乗りながら舟を漕ぐというアクロバティックな走法を実現するくらいには効果があった。

　友人は軽い怪我ですんだけど、額に傷が残った。

　その子が証言したのだろう。警察は私の未必の故意を疑った。

　冗談じゃない。友人に頼まれて睡眠薬を渡したのに何で怒られなきゃいけないんだ。あの子が事故を起こそうが死のうが、あの子の運命だったと思うし。

　納得がいかなかったけど、親も含めてみんな私をサイコパス女と呼んだ。

　鋼のメンタルというわけでもなかったので、学校には通えず家に閉じこもる。

　段々眠れなくなってきたので、自分で睡眠薬を処方したら二度と目覚めることはなかった。

　最後に脳裏をよぎったのは、お薬は用法用量を守って正しくお使い下さいという注意書き。

　私、取説読まない派なんだよなあ。