SNS上で人気の僕は

黒茶

佐野良樹 ①

まだ暑い初秋の午後、僕は目を覚ます。


「もうこんな時間…、今日は土曜日か」


再び横たわり、スマートフォンを手に取りSNSを開く。


『おはよ〜! 今起きた☀️』


真顔で投稿し、お次はチャット。

公式、公式、公式… ん、真央ちゃん?


『あと1週間でコンクールだけど、佐野くん今日も合唱部来ないの?』


面倒だから既読スルーと。

僕はいわゆる不登校。

気にかけてくれる人といえば、SNSのフォロワーと真央ちゃんくらい。

親にも教師にも見放された僕の居場所はネットくらいだ。


『コラボ配信ありがとう!またよろしくね(^-^)』

『はい!こちらこそ!』


いいんだ、僕にはネットがあるから。

溜息をついて目を閉じる。

これから自分の身に何が起きるかも知らずに。

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