第4話 暗黒騎士とあの日の誓い

話は一つ前の季節に遡る。


「じゃあ、私は先に休みますね」


夫人が酒を酌み交わす二人に軽く声をかけると赤子と二人で部屋に戻っていく。


「おー、こっちもいい所で切り上げるよ」

「うむ、其方は養生すると良い」


それぞれのグラスに酒を注ぎながら、夫はふと真面目な表情になる。


「こういう酒の先でこんな話をすんのもどうかと思うんすけどね」

「ムッ?」

「ほら、おいらたち海の男ってのはある程度お天道様の様子見て海に出ますけど。それでも百発百中ってわけにゃいかねぇじゃねぇですか」

「それはそうであろうな、我でも戦地にて予期せぬ事態というものはよくある事だ」

「戦場ってのはパッと浮かばねぇすけどね」


夫は苦笑いを浮かべつつ、注がれた酒を呷る。


「まぁ、もしおいらになんかあった時、騎士様にあいつらの事頼んじゃ駄目っすかね?」

「それは野暮な質問だな」

「ありゃ、やっぱ嫌ですかい?」


暗黒騎士は少しだけ笑い、


「その程度の事は頼まれなくとも引き受けるという事だ、我が同胞よ」


勇者歴0年(秋):暗黒騎士、誓いを立てる。

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