第37話 覚悟と応援
一人迷う俺の口が動く事を止める。
その時だった。
「そらにぃ! そらにぃは物語を書きたいんでしょ! 私も側にいるし、必要なら微力ながら応援もするしアドバイスもする。ううん、応援は勝手にするけど、だから素直に答えて。私はいつだってそらにぃの味方だから!」
「そうよ。私達はいつだって味方よ」
「くうにぃ無理はしないで。私もいるから。必要なら私もまた絵でくうにぃを応援するから!」
亜由美の言葉に大久保さんと鈴原さんがピクッと反応した。
「私もいるわよ。住原君ここまで七海が言ってくれてるんだから、利用してあげなよ。七海は利用して欲しそうだしさ」
「皆……ありがとう」
「「「「うん」」」」
「一応確認だけど七海は俺なんかと一緒にでいいのか?」
「いいわよ」
(当然よ。どんな形でも貴方の作品が全国に載るのよ!)
「大久保さん俺もその条件で構いません」
「わかりました。では残りの先生には出るか出ないの最終確認と参加する場合はフェアになるように全員同じ大きさで記事は書かせてもらうように手配します」
これで全部とりあえずは解決と思っていると七海がポロっと口を滑らしたかのように。
「ねぇ、貴方は自分の作品に自信があるのよね。ならWebに作品をあげて私達は企画とは別に個人的に読者選考で勝負しましょ。挿絵は当然あり。文字数は貴方が必要とする四万文字程度。誤差は五千字まで。それで負けたら貴方も認めなさい。【奇跡の空】はWeb小説界ではまだ絶大な人気があり、多くのファンがいる事をね。そして今後私達に口出ししないと」
七海は吉野を挑発するように言った。
「なんだと……」
「イラストレーターなら専属にいるでしょ? なにか問題でも?」
「問題はそこじゃない。何で僕がわざわざ勝負しないといけないんだ。それに二作品はこの短期間で無理だ。僕にも他の作品や仕事がある。到底手が回らない」
「別に今回企画に出す作品で作ったらいいじゃない。私は鈴原さんから企画参加の作品を作った場合記事に入るように必要に応じて編集してくれるって聞いたわよ。人の尊敬する作家をバカにした貴方を私は絶対許さないから!」
え? 喧嘩の理由ってもしかして俺?
う~ん。俺を巻き込まないで。後さり気なくさっきからプレッシャーになる方向にもっていかないで。七海って怒ったら根に持つタイプなんだな。今度から気を付けよ……。
「面白い。ただし負けたら今度から僕の仕事にも付き合ってもらう」
「えぇ。構わないわ。なんならプライベートでも仲良くしてあげるわよ!」
「言ったな。その言葉忘れるなよ!」
こうして二人の勝負に何故か俺が自然な形で巻き込まれる事でとりあえず話し合いが終わる事となった。
と一人勝手に解釈していると。
「なら私達が便乗して宣伝と運営サイトの会社にも手配してあげるわ。それとそっちは白雪先生のイラストレーターがイラスト描くと思うんだけどその人にお願いするのよね? それと挿絵ってまぁ合った方がいいとは思うけど本当に必要なの? 契約とか相手の都合とかが一番心配なんだけど……」
鈴原さんがさり気なく話しにのって来た。
「いえ。【奇跡の空】のイラストレーターはそこにいる姉妹が昔していたとこの前女子会で聞いたので彼女達にお願いします。基本は妹がメインらしいですが」
琴音は少々めんどくさそうな顔をして無言を貫き、亜由美は急に話しが振られたもんだから目を大きくして驚いている。
「私さっきバッチリ聞いたわよ。「必要なら私もまた絵でくうにぃを応援するから!」ってね」
「……言いましたけど、それはくうにぃの為ならって話しで。それに道具もここにはないですし……今すぐには無理です」
「大丈夫よ。必要な物なら手配するから」
「まぁそれなら……」
「琴音?」
「うぅ、わかった……わかりました! 描きますとも。せっかくのバカンスなのに……」
琴音は遊ぶ気満々だったみたいだが、隣からくる亜由美の熱い眼差し(勿論一緒にやるよね?)に負けたのか了承してくれた。
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