第3話 情報は洩れるもの
琴音は普段から人前では温厚で優しい性格の持ち主なのだが、俺の前では気を許し過ぎているのかよくこうして衝突する事がたまに……いやよくあるような気がする。身長は百五十四センチと育枝より七センチ程大きく、手先が器用な事から絵を描く事に長けている。実際去年の自由研究では絵を描きそれが学校で認められたぐらいに繊細なタッチが彼女の絵を素晴らしい物にしている。
容姿はまん丸とした目に、程よく肉が全身に付いていているが決して太っているとかではない。何と言うか胸やお尻と言った所にピンポイントでついているので服越しでもふっくらとした胸やお尻は好奇心をそそる。今はブラウス一枚に下は白のジャージとかなり油断した部屋着姿なのだがブラウスで隠し切れていない胸の谷間が何ともエロく女の子だと見せつけられているような感覚になってしまう。それに最後会った時よりもまた大きくなっている気がする。
一言で言うなら目の毒でしかない。
もし本人の前で気を抜けば、『やっぱりスタイル良いよな~。琴音さえ良ければ一度俺を優しく抱いてくれないか。いや抱いてください!』と言いたくなるような身体をしている。足は細くてて美脚と文句なしである。俺は発情期か! と言いたくなるような感じだが、俺の周りにはこんな奴らがあろうことか親族や身内や親戚と言った比較的親しい間柄によくいるのだ。
なので一度でも本人達を前にして正直に何かを言ってしまえば、俺はこの家を出て行くまで一生からかわれる予感しかしないので、絶対に言わないようにしている。
「なら聞くなよ! そうやって俺に対して敵対ばかりするから学校でも頼りになるって言われて変な男子に纏わりつかれるんだろう?」
慌てていつの間にか下がっていた視線を上げ、破壊力がある胸の谷間から琴音の顔を見て必死になって誤魔化す。それが悪態とわかっていても健全な男子高校生には不可抗力と言う物がある。それが悲しい男の性なのだから。てか誰だよ、子孫繫栄の為に性欲なんて作った神様は! それで……あっ止めておこう。また先日のフラッシュバックが……。
話しを戻して。
俺をダシにして琴音に近づいてくる男子は案外多かったりする。今年はどうかは知らないが去年は白雪とクラスが違った為に一組の白雪、二組の琴音と男子の中では言われていたぐらいだ。
本人はその事をなんだかんだ気にしているらしく……。
「あっ! 言ったらいけない事言った! くうちゃんがそうゆう態度ばかり取るから私がわざわざ面倒見てあげてるんでしょ!」
しまった……。
琴音の目つき鋭くなり、俺の瞳の裏を射抜くように睨みつけて来た。
更には軽く拳を作って指の骨をポキポキと鳴らし始める。
どうやら戦闘態勢に入ったらしい……。
「すみませんでした。ついムキになってしまい……これからもどうか情けない俺の面倒を見てください!」
俺は部屋の中で腰から上を九十度折り曲げ謝罪する。
家が隣同士の為、今から逃げる事は物理的に不可能。俺の運動神経では絶対に逃げ切れない。
だけど琴音のおかげでいつの間にか気持ちが良い方向に切り替えられた。
まだ本調子ではないが、さっきに比べるとかなり良くなっていた。
だが幼馴染である琴音はそんないつもと違う俺を見て今度は心配そうな顔をした。
「どうしたの? なんで言い返してこないの? 何かあったんなら話し聞いてあげるよ?」
流石に今は前みたいに口喧嘩をする気力がない。
隠しても仕方がないのはわかっているけど……。
事情が事情なだけに幾ら幼馴染とは言え中々言いづらいことも世の中にはある。
「……ちょっと元気がなくてな。悪いまた今度話すよ」
「一人で抱え込んで解決するの? またいくちゃんと何かあった? 喧嘩でもした?」
「まぁな。でも今回はそれだけじゃないって言うか……」
「うん? それだけじゃないの?」
琴音は何かを察したように視線を一度俺から外して空を見てからすぐに視線を戻す。
そう言えば琴音って水巻とも仲が良かったな。
もしかしてもうバレてるのか。
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後書き
今日はもう一話後で更新します。
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