「終わらせるための物語」正式かつ制式で整式

 サクッと斜め読みしてきました。


 途中、思わず斜め読みを止められました。わたしが斜め読みをするにあたって、ストーリーの大枠と登場人物の名前の区別、出てくる用語、スピード感、とか色々考えるんですけども。


 はじめてです。


 斜め読みしてる途中で「普通に読まされる」という事態は。


 わたしも正直、ちょっとびっくりしています。


 なんという整った様式。それでいて、正しく導かれるようなストーリーライン。そして、しっかりとこちらの機先を制する各話展開。まさに整式で正式で制式。こんなものは、ちょっと、いや、わたしが普段書くばかりでカクヨムの作品ほとんど読まないというのもあるんですが、はじめてです。


 わたしは文体と書きたいもののイメージを維持するために、ひとりの作家の本しか読みません。他のものはすべて斜め読みです。なので、自主企画でもそれを容認する旨の但し書きをして、斜め読みをします。


 はじめてです。


 カクヨム作品で「斜め読みが途中で止められた」のは。これほどの面白さとは。


 カクヨム作品以外だといくつかはあるんですけど、カクヨムのなかで、しかも自主企画に投稿してくださったかたで、こういう作品に出会うというのは、ちょっと、衝撃的です。


 斜め読みが止まったのは神聖教会という語句が多めに使われ出した辺り(過去の章前後でしょうか)です。最初は「正教会絡みかな。たしかに魔王の継承や荘厳だけど華美ではない意匠、文体の意識としても北方寄りなのかもしれない」なんて思って少しスクロールの速度が止まっただけ、でした。


 しかし、吸血鬼の戦闘あたりかな、あのセレネが細かく回想するところや、あとはリベイラを拳で揺らす場面。細かい情景描写に合わせて、多くの登場人物やその場にいるキャラクターに起こる状況が簡潔かつ安定して記述されていて、その上わたしのなかでもとりわけ想定していなかった「知識の媒体に対する破壊行為と普通に現れる黒幕の存在」にびっくりして。いま確認してみたら話名が「分岐点」で。まさにわたしのなかでも斜め読みが止まった「分岐点」になりました。


 ストーリーの大枠や章の展開立てがうまいとか、 過去話の挿入タイミングが絶妙とか、文体そのものがしっかり固まって問いかけてくる感じがして受け入れやすいとか、最初はそういうことを書くはずだったんですけどもなぜか「斜め読みが止まるぐらい面白かった」という話で1000文字も書いてしまいました。いや、なんにせよ、はじめてだったので。カクヨム内で「斜め読みが止まる」という事態は。わたし自身なんども書いてますがびっくりしています。


 はじめての体験でした。


 うわこれでこのかたの短編とかあったらどういう、どんな感じになるんだろう。なんかもう想像が追いつかないです。


 ほめちぎろうにも、なんというか、「おもしろくてつい惹き込まれてしまった」としか。どうしようこれすごい。おもしろかったです。あっ混乱してて正教会の話出したのになに一つふれずにこのほめちぎりが終わってしまう。


 とにかくまず。まずここで終わらせます。おもしろかったです。まずこれだけをほめちぎりまして終了にします。この作品はわたしがカクヨムで読んだ数少ない作品のなかで唯一「途中で立ち止まって普通に読んでしまった」作品でした。それだけをまず。

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