ソノ憂イ(2)

◇前回に引き続き暗くて重めです。ご注意ください。



結局 その横顔は憂いを濃くしただけ

その分強さを増した姿を見て 複雑な思いに駆られる


目線が高くなって 見下ろせるようになっても

心は小さな子供のまま


誰か 「大切にすること」を教えて欲しい

その手段を授けて欲しい


何をすれば 全身全霊で守れば 代わりに傷つけば


片割れを近くに眺めて 心の中で自問する


一緒にいたいと願ってしまうのは罪

そのために苦しいのは罰


本来の願いと違う想いが邪魔をする


誰か教えて欲しい

あの人が教えてくれる「大切」は身を切るより辛くて

私には出来そうもないから


◇◇◇


私の存在は何なのだろう

役に立たない人柱か 周りを侵す毒なのか


笑いの仮面が増えてくる

優しさという壁が高さを増す


それでも私は惨劇を止められない

連鎖を裁つことも出来ない


笑っている

何かが欲しくて腕を伸ばす


指先に触れては消えていく

儚い光を切実な瞳で見つめながら


諦めと希望がいっしょくたになった心を その中に見出しながら



◇調べたら15年は前のものでした。

 当時書いていた小説の登場人物の心象を描いたものです。

 残っていたことが驚きですね……。

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