第12話練習試合その1
俺が区役所に着いた頃には既に他のメンバーは揃っていた。
「直前に練習試合の事伝えてきたくせに1番遅く来るなんていい度胸ね」
仁王立ちの朱里の目は恐ろしいなんで言葉じゃ言い表せない。
「ご、ごめんなさい」
はぁ、と息をつき朱里は地図を取り出して話し始めた。
「江戸川区は練馬区と同様、住宅地が広がっていて比較的高低差のない戦いが出
来るわ。でも、サバゲー日本1のチームは建物などを上手く使って戦ってくるか
ら立ち回りには気をつけた方が良い。」
「分散からの集合なら気づかれずに移動が出来るんじゃないですか」
という圭一の質問に
「それは1人で移動中に敵チームに絡まれた時カバーが出来ないからやめておい
た方がいいわ。移動は集団でが基本。」
と、朱里は的確に答えた。
「とりあえず、地形は試合中に把握しなくちゃだし、臨機応変な対応が勝敗を分
けると思うから、みんな頑張ろう!」
「誰のせいでこんな直前になったと思ってんのかなぁ〜?」
「まだ、言うかよ!」
どうやら俺に話す権利はないらしい、、。
「練習試合出場者の方は1階ロビーにお集まり下さい」
アナウンスの声で人だかりは区役所の中に動き始めた。
「よし、俺達も行こう」
全員がロビーに集まると諸注意とルール説明をうけた。
住宅は中には入れないが、庭を使うことは出来る。
1部の公共施設は内部を使うことも出来る。
事前に配られたルールブックの通りなので直前に把握している。
本戦は飛行機からのスカイダイビングでスタートとなるが今回は練習試合なので降下予定地にバスで向かうこととなる。
余談だが、本戦のスカイダイビングはマップの降りたいところにピンを刺す事で自動的に降下してくれる装置を使うので練習は必要ない。
技術の進歩は著しい。
俺達の今回の目的地は江戸川駅より若干西寄りの住宅街。
しっかり初動は堅めていくように考えた降下地点だ。
説明が終わるとバスに乗りこみスタート地点に向かった。
「作戦通りにみんなしっかり固まって動こう。」
と、リーダーとして一言。
そして、みんなで手を重ねて、、
「YKAK〜ファイト!」
即興の掛け声で盛り上げた。
「それでは試合を始めます、さん!にー!いち!すたーと!」
アナウンスと共にまずは武器を漁る。
持てる武器は1人2つまで。グレネードなどの投げ物は3個までだ。
俺が手にしたのはショットガンとアサルトライフル。
朱里と圭一も同様の武器構成だが、佳奈はショットガンとスナイパーライフルにしているようだ。投げ物はグレネード2個と目くらましの閃光弾を持った。
そして、初動を固めたところで索敵を始める。
練習試合だ。負けてもいい。
大事なのは戦いに慣れる事だ。
すると、早速目の前の角に入る人影が見えた。
影が若干はみ出ている。
相手は気づかれていないつもりだろうが気づけたのが幸い。
角待ちをされている。
俺たちは回り込んで交戦しようとした。
しかし、敵チームが角から出て俺たちのチームの後ろを取ろうとしているかもしれない。
後ろにも気をつけながら移動していたその時。
バババッ!
後ろから銃声がした。
皆はすぐそこの角に入れていたが俺は電柱で体が隠れていたので被弾は避けられた。
しかし、1人路上に残されてしまった。
威嚇として、電柱から体を出してみるが敵の姿は見られない。
しかし、若干の影が見える。
影が動いた。
確実に角から出てくる。
俺は気づいた瞬間アサルトライフルで射撃。
相手の1人に2発を命中させた。
カウンターを撃たれたが電柱に隠れたため、被弾はしなかった。
そこで、俺はカウンターで聞こえた銃声から敵が2人しかいないことに気づいた。今ならやれる。
「当てた?」
角から朱里の声がした。
「1人に2点当てた。相手は2人。いまならやれる。」
そういうと、俺は正面から、朱里たちは相手の背後から距離を詰めることにした。
素早く距離を詰める。
それに気づいたのか相手は角から出て、俺に被弾などお構い無しに大胆に撃とうとしてきた。
しかし、俺も周りに障害物はない。
俺は地面に伏せた。
そして、伏せた瞬間相手にショットガンを向ける。
ダン!
ほぼ相打ちだったが俺のショットガンは敵の1人に命中。
回復アイテムは持ってなかったのか的はダウンした。
そしてもう1人の敵も俺の方に向かってこようとしている時、朱里達のカバーで容赦なく3人で敵に銃弾を撃ち込む。
圭一がアサルトライフル2発、佳奈が1発被弾したが、敵を倒すことが出来た。
そして、その場はようやく一段落。
次は補給物資が受け取れる江戸川区役所に向けて移動を始めた。
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