親の再婚で妹になった人は、学校で有名な美少女。そして、僕の嫌い人だった。

@1ya12ma2to

第1話

「凪、お父さん再婚するって言ったよな?」

「ん?ああ、それなら知ってるけど?」


 突然だが僕の名前は、咲間 凪(さくま なぎ)。そして、少し強面のこの男は僕の父親の咲間 隆弘(さくま たかひろ)。

 昔結婚していた妻が不倫していたため、離婚してずっと男手一つで育ててくれていた。


 だが数ヶ月前、いきなり再婚を考えている人がいると言い出してきた。いきなりということもあり、凄くビックリしたが、今まで育ててきてくれた恩もあり、僕も再婚には同意している。


「明日、この家に娘を連れてくるそうだ」

「へぇー、娘を連れて、ね。……ん?娘?!そんなこと聞いてないんだけど?!」

「それはそうだろう。言ってないんだから」


 さも当たり前のように言うが、一大事件なんだが、つまりは姉か妹ができるということだろう?前々から言っておいてほしいんだけど……。


「ちなみに妹になる予定だぞ。凪より誕生日が遅いからな」

「さらっと心読まないでよ……。まあ分かったよ」

「ああ、ありがとう」

「……今度の人は大丈夫なんだよね?」

「ああ、ものすごく良い人で、今度こそは幸せになれる気がするんだ」


 この調子なら大丈夫だろう。僕は寝る前に一言おやすみといってから上の部屋に行くことにした。




♡♡♡♡♡♡♡




「へぇー、凪の親再婚するんだ」

「めでたいね!今度遊びに行って良い?!」

「ちょっ、うるさいな……。別に良いけど」


 昼休み、僕は二人の友人と休憩していた。

 男の方は斎藤 太一(さいとう たいち)。スポーツマンのように髪を坊主にしているが、特に部活には所属していない。クールな佇まいとは裏腹に、誰にでも物怖じせず話せるコミュニケーション能力で、人気な生徒だ。


 そして、直ぐに人の家に行きたがる女子は、高城 千尋(たかぎ ちひろ)。綺麗な茶髪をポニーテールにしていて、人懐っく明るい性格で顔も整っていることもあり、男子からも女子からも人気である。


 だがこの二人は付き合っている。そのため異性にはある程度の距離を置いているが、僕から見たら十分なくらい仲良くしている。

 また二人きりになったり、三人で集まると直ぐにイチャイチャし出すため、僕や周りの胸焼けが絶えない。


 と、紹介はこれぐらいにしておこう。そして妹ができるということもまだ話さないでおこう。

 そして僕たちは他愛もない会話をして、昼休みを過ごしていった。




♡♡♡♡♡♡♡




「もうすぐ来るらしい。そんなに緊張せずにな」

「う、うん。軽く挨拶ぐらいはするけど上手く会話出来るかは分からない」


 緊張を解すため父親と会話していると、ピンポーンと音がなった。


「あ、来たっぽいな。行くぞ」

「う、うん」


 急いで玄関に行き、扉を開くと最初に一人の女性が入ってきた。


「あ、隆弘さんと、そちらが息子さんですか?」

「はい、一人息子の凪です」

「咲間 凪です。初めまして」

「あら、隆弘さんに似て礼儀正しい男の子ね!

私は月見 良子(つきみ りょうこ)です。良子さんでも、お母さんでも何でも呼んでね!」


 この綺麗な人は、月見 良子さんというらしい。身長は少し低く、150前後くらいだがものすごく綺麗な人という印象を受けた。

 よくこんな綺麗な人と再婚できたなと親父を見たが、もう二人の世界に入ってしまっている。


「良子さん、娘さんはどうしましたか」

「あ、そうですね。今来ると思います。……あっ、来ました」

「遅くなってしまってすみません」


 そこに入ってきたのは、一瞬アイドルかと思うほど顔立ちが整っている美少女だった。しかし、その人物は俺も見たことがあり、学校で有名な人物でもあった。


「え?月見、さん?」

「ん?咲間さんでしたよね?」


 僕の母親になる良子さんの娘というのは、僕の嫌いな人物。そして、誰もが認める美少女でもある、月見 琴音(つきみ ことね)だった。

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