第9話休暇と目覚め

相当疲れてたらしく起きたときには1日経っていた。


あと2日の間に水城の面会に行ってから知恵のバックアップをしなきゃならない...。


水城は病院で寝てるから問題ないはずだけど知恵が心配だな…。


一番仲の良かった一の死にあいつの場合コミ力の塊だったから他にも仲が良かったはずだ...。


それが一遍に亡くなったんだから心的ダメージは大きいはずだ...。


かくいう自分も一の死は堪えてる...。


「とりあえず水城のところに行くか」


そういい立ち上がり水城のいる病院に向かった。


門を抜け歩いて数分の位置に病院はあった。


「すみません。先日こちらに搬送された水城奈々の面会をしたいのですが...」


「はい。405号室の水城さんの面会ですね。只今担当の者が参りますのでお待ちください。」


それから5分ぐらいして担当看護士の滝口さんが現れた。


「2日ぶりですね、谷口さん。こちらへ」


滝口さんは有無を言わせず歩き出した。


自分もそれに続く。


「水城さんは軽い脳震とうだったおかげで翌日には目を覚ましました。しかし完全に大丈夫というわけではないのでまだ当分入院が必要かと思います。」


「そうなんですね…良かったぁ...。会話はできるだけ回復してますか...?」


「会話だけなら大丈夫だと思います。しかし気を失う前の記憶が詳しく残ってるかは・・・」


「分かりました。今回は顔を見に来ただけなので詳しい話はしないつもりなので大丈夫です。」


「それなら大丈夫ですね。到着しました。ここが405号室です。面会時間は午後五時までなのでごゆっくり。」


そういうと滝口さんはどこかへ行ってしまった。


とりあえず中に入るとよくある病院の内装に点滴を打って本を読んでる水城が居た。


「あら、久しぶり宗司。あの時は助けてくれてありがとう。」


「大丈夫そうだな、お前。助けてすぐの時は意識も朦朧としてるし怪我もしてたから心配だったんだぞ。」


「そっか、それは心配させちゃったね...。だけど自分が怪我をしても住民の人は護れたから...。」


「そりゃ偶然非常用のjpn/us15があったから良かったが00も着込まず操縦するなんて危険極まりないんだぞ。」


「それは分かってるよ。けどあそこで私が動かなかったら住民の人は死んでた。だけど私が動いたから!」


「それでもお前は今はただの一般人なんだよ!


軍人じゃないんだ!それなのに住民の救助に敵機との交戦。奇跡に等しい生存だったんだぞ!」


「はっきり言うけど宗司だってまだ軍人じゃないじゃんか!それなのになんです最前線で戦ってんのよ!」


「俺は訓練兵であって数が足りなければ一兵士として戦わなければならないんだ。俺以外だって石垣基地に研修に行ってた訓練兵はみんな戦闘を行った。その際殆どが亡くなった...生き残ったのは俺と知恵だけだ...。お前も知ってるだろ?流石知恵。」


「ええ、覚えてるわ。忘れるわけ無い。在校時


一番仲が良かったんですもの。というか今生き残ったのは宗司と知恵ちゃんだけって言った!?と言うことは一は!?」


「一は撤退中に後ろから狙撃されて墜ちた...。機体は爆散、データリンクの心拍やその他諸々も停止していた...。遺体も残ってない...」


「そんな...、一が...。嘘...、嘘でしょ...!」


「その後は俺の理性が切れて敵機へ吶喊。戦闘の末敵指揮官を大破、相手側の撤退により事なきを得た。それが今回の顛末だ。」


「だから私を殺し切らずに撤退したのね...。けど...」


「目覚めたばかりなのにこんな話してごめん...。今日は帰るわ…。」


「あ...。うん...。分かった...。じゃあね、宗司。」


病室から出ると扉の横に滝口さんが寄りかかっていた。


「騒がしいから来てみればまったく...」


「すみません。ついどちらも昔のように話をしてしまって...。」


「内容も内容ですよ...。そんなデリケートな内容をオブラートに包まず話すなんて...。」


「それもすみません。あれだけは...。」


「まぁ済んでしまった事は仕方ないですし今日はお帰りください。また何かあれば連絡しますので。」


「分かりました。それでは。」


それだけ言い残し自分は病院を出た。


来た道を戻り外出許可証を返却する。


そうすると教官に会った為今回の事を伝えた。


「そうか。お前たちはこういうのは初めてだったな。しかし戦場ではこれよりヒドい事も多い。この程度は耐えねばならない。それを胸に刻んでおけ。」


「分かりました...。それでは。」


それだけ言い残し自分は部屋へと戻った。


知恵のバックアップは明日だな…。


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