いつか英雄と呼ばれた頃に。〜元最強軍人で完全無職の少年は、戦乱の世の中で史上最高の英雄を目指す〜

Hachi

【第一章】襲来者篇

第1話 プロローグ〜後悔〜

 この世界は腐っている。殺しを善とし、逃避を悪とするからだ。

 憎しみは憎しみしか生まないとか言うが、まさにその通りで、この手で殺した魔族にはよく睨まれた。


 ーー人間、お前らは絶対に許さない…!


 一人の魔族のこの言葉がなぜか脳裏に焼き付いて、どれほど時間が経とうとも離れてはくれなかった。俺に殺しは向いていなかったのだろう。

 だが、そう言ってもいられなかった。殺して、殺して、殺して、殺し尽くす。それが、軍人である俺の使命であり、人族の平和には必須であるのだから。それに、仲間だって喜んでくれた。


「おい、ランク! お前また成績トップじゃねぇか! 次そこは負けねぇぞ!!」


「やっぱ、ランクはすげぇな! さすがは世界最強の軍人だぜ!」


「あなたは私たちの誇りです!」


 こんなに達成感のある仕事は他にはない。そう思っていた、そのはずだった。だがしかし、いつの日か笑顔は引きつり、心が風化していくのを感じた。

 その後俺は、軍を辞めた。これは俺が軍人となり、6年の月日がたった頃の出来事だった。

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