ぶろーくんはーと

ぶろーくんはーと

「しくしくしく……」


「……本当にごめんなさい」


 シェルターの端で体育座りをして泣いている男が1人。かれこれもう10分以上もメソメソと泣いていた。


「だからって、それを言っちゃいますか……」


 デルはため息交じりに呆れていた。


「あう……あのあの勇者様、本当に申し訳ありません、言葉の弾みでつい……」


 その間ずっとセレーネとアティウラは謝り続けているが、それ自体は事実なので特に彼女達を責める気はなかった。


「どうせ俺なんてシャイなあんちくしょうだから、ずる剥けたら敏感すぎて暴発しちゃいましたよ」


「何もそこまで自分を暴露しなくても」


「主様が早ろ……早くても全然気にならない、から」


 どこまでも冷静なデルと、自分にも責任があると思っているのかアティウラも必死でフォローする。


「それくらいの年頃の男の子なんて普通だよ」


「わたくしもあの件は全く気にはしておりません。むしろいい思い出だと思っております」


「そ、そう?」


「むしろ、そっちの方が美味しいと言うか」


「あ、それ分かります!」


 あ、あれ?


「恥ずかしがり屋さんなところがかえって合っているんですよね!」


「うんっ、本人は結構気にしているところが可愛い」


 えっと、それは何処の話?


「魔物とか相手に全く怖じ気づかないのに、こういうところで失敗して泣きそうな顔を見せられたら、もう、きゅーん! ってなって凄く優しく抱きしめて上げたくなるのです!」


「そうそう!」


 二人は、俺のことで話が盛り上がっていた。


「もしそれでお姉ちゃん……なんて呼ばれたらそれだけで、もう、むっはー!」


「きゃー! それもいい! でもそうやって最初は失敗気味でしたのに、その後慣れてきて頑張ってリードしようと健気な姿も凄く、きちゃうかもです!」


「鬼畜責め的なのもダメじゃない!」


 何やら妄想話で盛り上がっているセレーネとアティウラ。

 うん分かった。この2人その辺の性癖と属性が同じなんだな。


「……そうか俺ってそんな風に見られているのか。やっぱり情けないって思われているのか」


 あっちも恥ずかしがり屋だしね……。

 女の子、ちょっと怖い。


「ちょ、おい! そこのクソ処女共、お前等妄想がダダ漏れしすぎだ! 勇者がびびって縮こまってんじゃん!」


「あ……」


「申し訳ありません。勇者様!!」


「ごめんなさい!」


 デルの一言で妄想から戻ってきた2人は再び必死になって謝るのだった。


「やっぱり女の子怖い」


「ったく……人のトラウマで盛り上がるなっての。あーあ、またこれで初体験は遠のいたわね」


「そんな!? 森を抜けたら身を綺麗にして今一度と……」


 セレーネが激しく動揺していた。


「アンタ等、処女のくせに妄想が激しいんだっての。……いや処女だから激しいのか、とにかくこれ以上傷口に塩を塗るんじゃないの! ったく……」


 わざとらしく深いため息を漏らすデルだった。

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