エピローグてきな

エピローグてきな

「さてと、それじゃあまずは何処に向かうとしようか」


 転送装置で森の中まで一人ずつ飛ばされて3人揃ったところだった。


「いずれにせよ、まずは森を出るのがいいのではないでしょうか」


「確かに、そうしたいところだな」


「それじゃあ僕が道中の案内をするよ」


 彼女を連れてきて正解だったかもしれない。

 よく考えたら、俺とセレーネの二人だけで魔物の森を歩けたのかかなり怪しい。


「これからまた、しばらくの間は我慢のご飯になるのか」


「どんななの?」


「今あるのは……、干し肉とピクルスと固いパンかな」


「勇者様、どれももうありませんが……」


「え、まじで!?」


「兵団のキャンプにそれらは全部置いてきましたので」


「お、おう……」


 そういえば、その辺りの荷物は全部出していた気がする。


「そうなると、しばらくは里でもらったあれか」


 バランス栄養食。もう少し味があるといいんだけど。

 まあ、しょうがない。しばらくはそれで我慢するしかない。


「ああ、そういえば、気がついたら結構レベル上がっててさ」


「良かったじゃない」


「何レベルになりましたか?」


「5レベル」


「一気に上がりましたね」


「それでMPが8万になってた」


「は、まじで!? 一体どんな上がり幅のチート能力を持っているのよ」


「そうはいうけど、自分じゃほとんど使い道がないんだけどな」


「贅沢言わないの。それでも使い方があるんだからさ」


「まあ、そうなんだけど」


「そういえばさ、勇者って魔王を倒すのが最終目的なんじゃないの?」


 デルが素朴な疑問をぶつけてきた。

 確かに、そういう目的を与えて拉致してきた地球人を星に放り込むんだけどさ。

 だから俺は、その意味も意図も知っているから魔王を倒す気にはなれない。


「そうでもない」


「じゃあ倒さないの?」


「うーん……、どうなんだろうね」


「えー、じゃあ何か目的とかは考えていないの?」


 目的か……。

 確かに何かそういったのを考えた方が良いのかもしれないな。


「いずれ考えるよ。今はとにかく何処かの街に向かうのを目標にしよう」


「じゃあ、俺達の戦いはこれからだ!」


「だから、なんでいつもそんな終わり方!?」


「勇者様のこれからのご活躍に期待ください」


「だから!」

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