第9話 元カノ

それから数か月が過ぎ ―――4月



先輩との関係は相変わらずで良い関係を築いていた。


お互い進級し今を至っているけど ―――





そんなある日のデートの日の事 ―――



私達は一日を楽しく過ごすはずだった。


彼女が現れる迄は ―――




「圭悟じゃない?」




ズキン

一人の女の子が私の目の前で先輩を呼び、私の胸の奥が痛んだ。



「……あや……」



≪呼びすて?≫



「久しぶりね」

「……ああ……」

「せっかく会えたんだし、お茶しない?」

「ごめん。今、彼女とデート中だから」

「勿論、彼女さんも一緒にと思っているんだけど」



「いいえ……私は……。先輩……私……帰ります」

「えっ!? 何言って……せっかくのデートなのに華菜が遠慮する必要ないよ!」

「いいえ……」

「華菜……あや、悪いけど君とは付き合えないから。行こう! 華菜」

「私達は、またいつでも出来ますから。失礼します!」

「華菜っ!」



私は帰り始める。


「ごめん。邪魔するつもりはなかったんだけど。ごめん。圭悟」



「………………」



「俺、彼女追うから君とは付き……」



彼女はキスをした。




偶然に振り返った私は、そのキスシーンを目撃してしまい私は足早に走り去った。



「何するんだよ!」

「良いじゃない? 私達、付き合っていたんだから。……ねえ……圭悟。私達もう一度、より戻さない? 」


「俺は付き合う気ないから! 彼女いるし!」

「だけど、その彼女は帰っちゃったし。気利かせてくれたんじゃない?」

「あやっ!」

「そんな怖い顔しなくも良いじゃない? 分かったわよ。今日は帰るわよ」



二人は別れた事とは知らず―――



だけど、私達の仲を引き裂くように彼女は私に色々と仕掛けてくるのだった。



ある日の事。



「あっ! 華菜さん」



元カノと思われる女の子が、私の前に現れた。



「あの……先輩なら……」

「大丈夫よ。私、あなたに用事あるから」

「えっ?」

「お時間大丈夫? 華菜さんちょっと付き合ってくれない? 」

「いいえ……私は」

「良いじゃない」



そう言うと、彼女は強制的に私を連れ出した。


私達は、とある店に移動した。



「ごめんなさい。紹介遅れて。私、菜耶松(ながまつ) あや。あなたは圭悟の今の彼女なのね?」

「はい」

「ここ、圭悟と良く来てたんだ。この前も来たんだけど、私達久しぶり会って話が弾んじゃって」


「……そうですか……」


「それで、この前、圭悟からあなたと別れるからて私とより戻そうって言って来たの」


「…………」


「勿論、私は断ったんだけど……ねえ、あなた可愛いし、またイイ人現れると思うんだけど……」

「それって別れてくれって事ですか?」


「別にそんなつもりはないわよ。私は別に、圭悟にあなたと付き合いながらでも良いから。あなたが1番目なら、私は、その次でも良いし」


「…………」


「だけど、あなたには無理そうな気もするけど、付き合って間もない感じだし。身体の関係もまだみたいだし。案外、キスさえもまだ……? 別れるなら早い方が良いんじゃないかと思って」



バシャ

私はコップに入っていた水を彼女にぶっかけた。



「きゃあっ! ちょっと何するの!?」

「私は、先輩を信じます! 元カノか何かは知らないけど、変な言いがかりは辞めて下さい! 失礼します!」



私は帰る事にした。



「何て子なの!? この私に水をかけるなんて信じらんない! 絶対っ! 許さない! 圭悟と絶対、別れさせてやるんだからっ!」




私は彼女の言葉は信じたくなかった



だけど ―――



先輩を一瞬疑った瞬間でもあった



でも ―――






ある日の事。



「華菜ちゃん、どうかした?」と、蓮歌ちゃん。

「えっ? どうもしてないよ。そう見える?」

「うん……何となく……もしかして……先輩と何かあった? うまくいってるんでしょう?」


「あっ、うん」

「良いなぁ~。先輩カッコイイから、いつも不安じゃない?」

「まあ……不安じゃないとなると嘘になるかな? 付き合ってる事すら信じられなくて……」

「……華菜ちゃん?」




その日の放課後。



「華菜」



教室に先輩が訪れた。



ドキン


久しぶりに名前を呼ばれ胸が高鳴る。



「先……輩……」

「ごめんね。最近、忙しくて」

「いいえ。大丈夫ですよ。進路で忙しいですから仕方がないですよ」

「良かったら一緒に帰らない?」

「はい……」



私達は一緒に帰る事にした。


私は普通に接するように努力した。


先輩に悟られないように ―――





でも心の中は


不安で不安で仕方がなくて


時には先輩を疑ったり


そんな嫌な自分がいた




「華菜、敬語抜きにしない? 先輩、後輩とはいえ付き合っているんだし、二人きりの時位は普通に話してもらった方が……」


「……それは……」

「急には難しいだろうから、ゆっくりで良いから」

「……はい……」



「後、あやの事だけど気にしなくて良いから」

「えっ?」

「偶々、そこにいた竜信が会話聞いていたらしくて、あやと会ってたんでしょう?」

「……それは……」


「アイツの事だから何か仕掛けて来るとは思っていたけど……」

「……やっぱり……元カノの事だから分かるんですね……」


「えっ? 華菜?」

「……すみません……気、悪くしたなら謝ります。……ごめんなさい……」


「……華菜……アイツの言う事は全て嘘だから。信じたら駄目だよ」

「……はい……」





信じたいけど


元カノなんて…………


先輩が


もし心残りなら


私は利用されている?


違うって分かっているのに


好きな人を疑うなんて


本当最低な彼女だ


正直


そんな自分が嫌になる


もともと


私なんか相応しくなかった


そんなマイナス思考 ―――


先輩


私の心が


不安と自信がなくなる前に


私の不安を


取り除いて下さい ―――


きっと私は


このままだと


あなたから離れていき始める








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