マリーゴールド
結城恵
第一話・いただきます
◆
…………
まりあ「午前の授業終っ了ーー!!! こーへーくんこーへーくん、あたしもうおなかペコペコだよー」
まりあ:私は聖川まりあ。高校一年。
今年の春からこの県立澄崎高校に入学した、いわゆる『花も恥らう女子高生』ってやつだ。
今にも唸りを上げそうな腹の虫を気合で押さえつけながら、いつものように、後ろの席の彼に話しかける。
香平 「花も恥らう女子高生が、開口一番ハラペコアピールっていうのはどうなんだろうね……?」
香平 :僕は青山香平。高校一年。
特別な才能や、因縁のライバル――――なんてのが居るわけでもなく、
特筆すべきことの無い、至極平凡な高校生活を送っている。
春先からこっち、席が近いという理由で、しばしば彼女と昼食を共にしている。
まりあ「はっはっはっ、コーヘイくん、あたしに『恥じらい』なんてあるように見えるかね」
香平 「そうだね、必死に腹の虫を押さえつけてる様子は、まあ女の子として及第点、かな」
まりあ「ちっ、お勉強ができるだけの平凡な男子高校生め……。なかなかどうして、オンナってのを分かっていやがる……」
香平 「女の子なら女の子らしく、そのブレッブレなキャラはどうにかできないのかな、キミって人は」
まりあ「これはワタクシのアイデンティティ。そう易々と手放せるものではなくてよ? 坊や?」
香平 「坊やって……もう突っ込まないぞ、僕は」
まりあ「冗談はさておき、待ちに待ったお昼だよお昼! こーへーくんもほら、おべんと出して!」
香平 「はいはい。本題に入るまでが難関だねキミは。さあほら、僕だってお腹は空いてるんだ。早く机くっつけて」
まりあ「おっと、忘れてた。あたしとしたことがこりゃ失礼」
…………
香平 「さあ、準備が出来たところで食べようか」
まりあ「待ってましたあ! っとと、その前に……」
香平 「その前に?」
まりあ「日本人たるもの、これをやらなきゃイカンでしょ」
まりあ「せーのっ」
香平・まりあ『いただきます』
…………
香平 :平凡な僕と
まりあ :ちょっと変わり者のあたし
香平 :どこか不思議な彼女と
まりあ :素直で優しい彼と
香平・まりあ:これは二人の、ある日常の一ページ
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