ルームメイト

ハル

第1話 ルームメイト募集

『ルームメイト募集』


『真面目な誠実な方なら男女問わず年齢問いません』


『決まり次第、お返事させて下さい』

『軽く面接をし、再度、ご連絡させて頂きます』





私、真谷 朋華(しんたに ともか)。15歳。

春、4月から高校生になる女の子。


親に無理を言って一人暮らしをする事が出来た。

部屋が広い為、ルームメイトを募集しているんだけど ―――




「はぁぁぁ~」



大きい溜め息を吐く。



「入学式迄にはルームメイト来て欲しかったなぁ~……」と、私。


「朋華、仕方ないよ。まだまだ募集してれば、そのうち誰か来てくれるよ」



新一年生になり、

親友の・世木本 由津羽(せきもと ゆづは)が励ます様に言ってくれる、



「だと良いんだけど……ねえ、ゆづっち~、一緒に住もう♪」

「いや、無理! 自炊出来ない訳じゃないけど難しいかも」

「それなら私も同じだから二人で協力しあってしよう!」

「いやいや、更に悪くなりそうだよ」

「えっ? そう?」

「そうだよ~」



そして、ロングホームルームにて、クラスメイトの自己紹介があり ――――



「藍神 悠也(あいがみ ゆうや)でーす。皆様、ご存知の通り、俺は、YU-YAという様々なジャンルに活躍中の業界人間で~す。芸能人だからって特別扱いなしで宜しくっス!」



彼の人気は高かった。




次の日 ―――



「凄いね。彼やっぱり、今、売れっ子だし」



由津羽が藍神君の話をしてくる。



「そうだね」


誰にでも対等な彼は友達に囲まれていた。




その日の夜 ―――



「はあぁぁぁ~」


溜め息を吐く。



「一件もアクセスなし……もーーっ! 最悪ーーっ! 誰か来てよーーっ! こんな可愛い現役女子高生が一人……」




『ルームメイト募集』


『男女問いません』

『可愛い女子高生と同居してみませんか?』

『汚れてない、まだピュアで彼氏募集中の女子高生ですよ(本当です)』



「後半はちょっと、恥ずかしい話で、どうでもいい情報だしアピールしすぎだろうけど……これ位書いておかなきゃ無理な気がする」



私は一先ず、これで募集をかけてみた。



すると ―――



「おっ! ヤッター! 来た、来た! ラッキー! つーか単純。やっぱり女子高生とか可愛いとか美人とか、その一言で一変だね」





『マジでぇぇぇーーっ! 女子高生と同居。Hしまくりーー』



「ボツ……」



「……これもボツ……」



アクセスが沢山来た矢先、目を通すも全て、援助交際とか、体目的ばかりの内容だった。



「目的違うじゃん……こんなルームメイト募集の相手なんて……必要としてないのに……もう……やだ……」



私は、再び内容を書き直そうとした矢先の事だった。



『場所、どの辺になりますか?』

『俺、色々と事情がありまして出来れば、一度お時間頂けたらと思います』

『下見させて下さい』



「………………」




イイ人?


悪い人?


画面から見える


ただの文字や言葉には


気持ちが込められてない分


正直、恐い。



顔が見えない分


どんな人間なのか……?


判断出来ないのが


恐い世の中


信じて良いものなのだろうか?





『どんな事情でしょうか?』

『正直、あなた以外の方が違う目的だったので信じられないんですけど……』




『メール読みました』

『大丈夫です』

『俺の連絡先です。そちらの都合など色々あるのかもしれませんが、登録しておいて下さい』


『只今、仕事中の為、こちらから、ご連絡差し上げる方向で話をしていきたいので、その時に一部、お話します』



私は相手の意見を受け入れ連絡を待つ事にした。


これで良かったのだろうか?




そして ―――



私の携帯に相手の着信がきた。



ドキン

恐いものもあったけど信じて、ドキドキと胸の鼓動が加速する中、勇気を出して電話に出た。



「もしもし……」

「あっ! もしもし」



電話口から男の人の声。

相手は更に続ける。



「あの、単刀直入に言わせて頂きます。俺、業界の人間なんですけど受け入れてもらえますか?」


「えっ!? 業界の……人間の……方ですか?」

「はい」




業界?


モデル?


俳優さん?


それとも何かの卵?




「卵? それとも……」



私は聞いて良いものなのだろうか? と自問自答するのと同時に、気付けば既に口を開いて尋ねていた。



「あっ! ごめんなさい……えっと……」

「現役です。名前はちょっと言えないですが……」



誰?



「やっぱ無理だよなぁ~悪い、気に……」

「いいえ! 大丈夫です!取り合えず下見にいらしてください。契約するしないはあなた次第だし」


「分かりました」

「また、連絡します。もちろん、そちらの都合があるなら、そちらからでも良いです」

「分かった」




私達は電話を切った



















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