異界の印は運命と共に

@Yukimura1104

1話 異界の印は差別と共に

人は物事にすぐに優劣をつけたがる。

「あいつは優秀なのに、なんでお前は、」

「自分はあいつと比べて劣っている。だから無理だ。」

「今日も君は100点だ!クラスで1番頭がいいな!」

 外側や結果だけを見て、内側や過程を見ない、そんな人間が多い。

 頑張っても埋まらない才能や理解力の差。

 自分は底辺だと思い、努力する気がない。

 いい点数をとってもそれがもし、ズルしてカンニングしたものだったら。

 先入観に囚われすぎて、客観的に見れば分かる、簡単な事ができない者が多い。

 さらに、その人類の一部に、圧倒的な埋まらない非科学な能力があったらどうだろう。

 そいつらは人類を導く者となるか、はたまた違う生き物とされるのか。

 内面や過程を見ない者はどう思うだろうか。


 結果を言うなら、新たな強い差別行為だった。

 心の恐れや嫉妬、妬みが故にその者を殺すことだった。

 手には銃があり、目の前に熊がいたらどうだろう。

 ほとんどの者は死にたくがないが故に、矛先を彼らに向ける。

 猟師が熊に襲われる、又は見つかった時、銃口を熊に向ける様に、


 人は例え、相手が人間だろうと人が人ならざる力を持っていれば、その人の思いなど知らず、悪魔、魔女、化け物と呼び、いじめ、暴力を振り、殺す。

それが、老楽男女問わず、関係なく殺害する。


 そんな彼らは、印持者いんじしゃと呼ばれた。

 天気を操る者、生命を生み出す者、身体を他の生物に変化させる者。

 能力は様々だが、それが、災害を起こそうと、奇跡を起こそうと変わらなかった。


 どんな能力、人間だろうと、相手が最愛の人だろうと化け物だから。


 印持者が発見されてから、3年後。

 国の一部は、印持者保護法という、印持者を殺さず保護する代わりに、国の為に動く者として、働くという法律ができた。


 印持者達は、喜び、泣き、安堵した。


 でも、影では、実験も差別も無くならなかった。

 一部では、自分のペットとして、禁止されているはずの奴隷化が再び始まった。


 新しい革命を始める。


 彼は印持者の運命を持ちながら、腐った人と国に復讐する。


 暗殺者達の物語。


ーーーーーーー


2016年 7月23日 PM20:02

国名/ジナド 

州/ノースウィリアクリムルーズ フォレストシングソン


 暗い街の7階建ビル。

 ブリーム建設株式会社と書かれたそのビルの窓には、明かりが一つもついていない。


 しかし、1人、また1人とそのビルの中に入っていく。

 ビルの中に入り、エレベーターで普段は機能しない、ないはずの地下3階のボタンを押す。

 地下3階にたどり着くと、そこにはサーカスの舞台の様な広々とした空間と大きな観客席。

「時間になりました。今からオークションを開催します。今回の品も驚き、感動、恐怖が詰まった、いい品の数々です。」

 舞台の中央には、シルクハットを被り、紳士服を着て、奇妙な仮面をつけた男性がステッキを持ちながら喋った。

 裏オークション。

ここでは、麻薬や覚醒剤などの薬や1人で持つには過剰すぎる武器。

そして、印持者。

「今回の目玉商品は、印持者です。危険な能力を持ち、危ない化け物ですが、この化け物はまだ子供で、10代のメスです。性奴隷や家事奴隷にするのもありですが、能力を自分のためだけに使わせる様に、調教するのもありですね。」

 俺は怒りを堪えながら、糞野郎の話を聞いた。

 下唇を噛み、怒りを必死に堪えた。

 いつもこういう任務の時は腹が立つ。

 黒髪の20代前半ほどに見える容姿の男性は、静かに獲物を狩る様な目をしていた。

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