第19話 彼の詩「雪の穢」


むり


この白紙に文字を綴ろうとして


思い浮かんだのは


あなたとの会話


ひと文字 ひと文字


ことばを綴るほど


わたしの 言葉は 白紙を穢す


あなたが悲しげに


穢れた雪をみて


美しさを問うたのは


なにも綴らぬ白紙のうちが


何よりも清らかであると


暗に知らしむためだったのか




なにも綴らぬ白紙を見せたとして


あなたには何も伝わらない


わたしの想いは伝わらない


ならばわたしは白紙を穢し


歪んだ心をここにさらそう


たとえ あなたの悲しげな眼差しを


この身に 受けたとしても



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