第124話  女神アルテミス

 晃が悲鳴のする所に駆けつけると数人の男に一人の女性が襲われていた。半ば服を破られ、殴られ組伏せられて犯されかけていた。


「何をやっている!」


 晃は思わず叫んだ。


「なんだこのクソガキ!邪魔すんじゃねぇ」


 一人が女性をを捉えたまま残り、他が晃に一斉に向かって行く。しかし、一般人のようで、動きが遅くはっきり見ていた。女性を襲う奴に情けはいらない。晃は殴り、足蹴りにして吹き飛ばして行く。全員がかかってきた訳ではなかったが、傍観者達は実力の違いがかなりあるとすぐ分かり、女性を地面に投げ捨てて這々の体で去っていく。晃あは追いかけようとしたが、血まみれの女性がそこに倒れているので追跡を断念した。その女性に駆け寄る



「大丈夫ですか?」


 とその女性を起こしたが、上半身は服を剥ぎ取られ、胸があらわになっていた。晃は咄嗟の事だったので恥ずかしいとはその時は思わなかったが、痩せているがかなりのボリュームの、男が男好きな体がそこにはあった。


「冒険者様ありがとうございます。おかげで犯されずに済みましたわ」


 だが胸やら腕に切り傷があった。そうこれは実は暴漢者による傷ではなく、演出の為自らが付けた傷である。


 女神は一般人が傷を付けようとしても傷を付けられない。唯一傷をつけられるのがファーストだけである。晃は実はその事を知らなかった。なので暴漢者により負傷しらたと思っていて、その女性に


「大変な傷です。塗り薬が、塗ると傷が治っていく塗り薬がありますのでそれを塗りましょう!」


 薬に手を伸ばしかけた晃の手を掴み


「痛みは我慢できますから、できれば家に連れて行ってくれませんか?周りに人がいるこんなところで肌を衆目に晒すのは恥ずかしいですわ」


 周りに何人かがいたのである。晃はハッとなり着ている上着とコートを脱ぎ女神に巻きつけてあげた。


「お優しいんですね。晃様は」


 恥ずかしそうに言っていた。


 晃はとりあえずお姫様抱っこし


「家はどちらですか?」


 と聞きその場を離れる事にし、しっかり掴まっていてくださいねと声を掛けた。 

 家に案内するが、晃のホームから近かった。数軒離れているだだった。そこは立派な屋敷であった。立派な屋敷だなぁとは思いつつ、晃はその女性を部屋に連れて行き、ソファーに寝かせる。


 時折うっと辛そうに唸っていた。実は恍惚に唸っていたのだ。晃が意外と力強く、男を感じていて欲情していて、自らの滾りを抑える苦悶の声だった。


 晃は知らなかった。一般人が女神に傷つける事ができないと。女神だとは屋敷から分かった。また抱きしめた時にもかんじていた。彼女の胸と腕に付いている切り傷は自らの手でナイフで付けた傷である。晃はまず腕に薬を塗る。少ししみたようでウッと唸る。


「ごめんなさい胸の傷の治療のため少し胸を触ります。いやなら自分で塗りますか?痛いですけど」


「はい自分では厳しいですから頼みます。お礼代わりに揉んで貰っても良いのですよ」


「はははは。冗談がお好きなんですね」


 と乾いた笑いをするが、薬を塗ると女神が妖艶なうめき声をあげた。晃は真っ赤である。治療の為胸が丸見えで、それを触っているのだからだ。その芳醇な触り心地は、昇天しそうで、あまりに魅力的であり、理性が飛びかけていた。薬を塗ってからが晃が女神にコート掛け、胸が見えないようにした。しばらくすると傷が治ったようで、晃はひと安心だった。


「あら不思議な薬ですわね。見事に痛みが引きましたが、こんな格好では恩人の方に失礼ですので着替えてまいります。お待たせいたしますがそのままお待ち頂けますか?」

 晃は特に急ぎの用事があるわけでもないので頷いて女神が着替えてくるのを待つ。


 ソファーから立つとコートが落ちて、また胸が見えた。何食わぬ顔でそのままドアでこれみよがしにお辞儀をしてトップレスのまま、部屋を出た。


 晃はなんとなくわかっていたが、住んでいる所から、それも晃達の近くの屋敷というのは、ある一定以上の規模の女神が住んでいるのだ。だからこの女性はきっと影響力のある女神なのだろうと。

 晃は半裸の女神の肢体があたまから離れなかった。実は魅了にレジストしていた。でも、抱きたい、犯したいと時折ふつふつと思えていたのだ。


 5分ほどするとセクシーなナイトドレスを着て現れた。晃はぽかんとした。大人の女性それもかなりの美人であり、グラマーなのだ。腰は見事なくびれで、手足もすらっとしている。惜しげもなくその見事なボディラインを晒し、生足が見えているので思わず生唾をゴクリと飲み込んでいたりする。今舐めてと足を差し出されたら、舐めていたであろう。


 女神アルテミスはそんな様子の晃のうぶさを楽しんでいた。晃が座っているソファーの隣に座り、先ほどはありがとうございましたと言いながら、胸や肩に手を当てお辞儀していた。真横で頭を下げるものだからその見事な谷間がよく見えた。アキラは真っ赤である。先ほど胸を見ていたが、あくまでも治療の一環で見ていたので多少は赤くはなっていたが、女性として意識しながら見てはいなかったのだが、今はそのしなやかな身体に魅入られ、温りを感じ、谷間まで見えているので意識せざるは得なかった。


 女神はお礼を言い始めた。



「危険を犯し私を助けていただきありがとうございました

 。私に出来るお礼というのは大した事ができません。私のこの体ぐらいしかありません。せめてものお礼に私を抱きになってください。それぐらいしかお礼ができませんし、晃様なら、身を委ねるのに十分な資格派がありますわ」


 その妖艶な笑みに晃はくらくらしていたがハッとなり、肩に手を添え引き離した。


「あの、それには及びません。僕はそんなつもりであなたを助けたんではありませんから。そのお気持ちは大変ありがたいし、物凄ごく美人で魅力的な女性ですが、僕はそんな女性の弱みにつけこんで女性をモノにするなんて事はできません。なので今日はこのまま失礼させて頂きます。お気持ちだけ頂戴します」


 そうするとドアがいきなりバタンと開き、一人の筋肉質の冒険者が入ってきた


「アルテミス様暴漢に襲われたと聞きましたが大丈夫でしたか?」


 と心配そうに入ってきた。


「ええ。この方にお助けいただきましたわそういえばお互い名前を名乗っておりませんでしたわね。私は見ての通り女神です。そう女神アルテミスアルテミスとお呼びください」深々とお辞儀をする。晃は


「はい僕は六連星団の団長をしております晃と言います。よろしくお願いします」


 丁寧にお礼をしていてアルテミスは感心していたが、


「やはり恩人に何もしないというのは私の主義に反しますわ。そうですわねちょうどいいわあなた、晃様をもてなしてあげて頂戴。恩につけ込んでになるから私を抱けないのですって。あそこなら、その理由はないからよろしくね」


 晃は何を言っているか分からなかったが、その冒険者が晃の手を掴み


「晃殿ありがとうございます。我らが女神アルテミス様をお救い頂き感謝の言葉もありません。アルテミス様からお礼をせよとの事ですので、女神様に代わり私がお礼を差し上げたいので一緒に参りましょう」


 云うや否や晃きの同意を取り付けずに強引にその手を引っ張っていく。


 そして屋敷から出るのだが、女神アルテミスから二人とも楽しんで欲望のままに行ってらっしゃいと意味ありげな言葉を掛けられ、晃がドナドナされていくのであった。

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