第95話  進行

 毎度お馴染みの朝の出来事だ。


 晃は柔らかな心地良い枕に癒やされていた。ちょっと息苦しいけど、温かいなあと微睡みにあった。


 流石に苦しくなってきて顔にある枕を動かそうと手を持ってきたが、柔らかな揉み心地の良い2つの双丘があった。止まらない。止められない、そんな感触だ。あう!と言うエニグマの呻き声が聞こえてきた。


 触り覚えのない大きさだが、何を触っているか急激に理解し、そっと手を離す。


 冷や汗がひたりエニグマが


「晃様。私の胸の感触は如何でしたか?」


 晃は布団から出ると土下座を決めこんだ。


「ごめんなさい。寝惚けてました」


「良いのですよ。恩人の癒やしになれば。気に入って頂ければ幸いです。どうでしたか?好みのサイズなら幸いです」


「は、はい。その、好みのサイズで至極の時間でした。って、何言わせるんですか!ごめんなさい。ちゃんと責任を取りますから。女の人の胸を触ってしまいましたから。僕のお嫁さんになって下さい」


 レヴィとエニグマは驚いた。

 純潔を奪ったとかじゃなく、寝ぼけて胸を少し、いや少しじゃないが触っただけで目の前の少年は責任を取ると言うのだ。真面目過ぎたのだ。


 エニグマはせいぜい、キスしてとか、彼女になる程度の申し出をして了承されると踏んでいたが、流石に引いてしまった。そう、仕向けたのだが、フェアじぁないと。


「あの、もう許しますから。初めて男の人に胸を触られましたけど、責任を取る事ではないですよ?気持ちは受け取りましたから、責任を感じないでくださいね。晃様は真面目なんですね。あの、代わりに私の事をエニーって呼んで下さい、晃様のお嫁さんにいずれなりたいですけど、こんなのフェアじゃないので、ちゃんとお付き合いとかしてからがいいの」


「良かった。エニーに嫌われたらどうしようかと思ったんだ。許してくれてありがとう。その、意外と大きいんだね。じゃなくて、目のやり場に困るから服を着てください」


 晃はちらちらとトップレスになっていたエニグマの美しい体に見惚れていた。

 エニグマの手には自らの下着が握られていた。自分で取っちゃったのだ。慌てて肌着を着て弁明をする。


「きゃー忘れてください。見ましたか?あの、普段お部屋で寝る時は裸なんです。」


 他の二人はテントの外で朝食の準備をしていて、準備ができた旨声を掛けてきたので、うやむなな状態では晃は逃げた。


 そして朝食の後に上級者層に向けて出発をした。


 装備を着けた後は皆真剣な眼差しで晃に従う。エニグマと3人組はレベル5だった。しかし、今一番強いのは晃だ。晃の足しを引っ張らないようにと何とか歩みに付いていく。


 やはり魔物除けの効果は抜群で殆ど戦わず途中の昼休憩をセーフエリアで行う以外は休憩をしなかった。皆焦っていたのだ。今日の目標は30階層の主を躱すか倒すだ。エニグマ達が上がってくる時は幸い現れなかったそうだが、30階層に降りる時、今一度警戒と、セーフエリアを見付けるように晃は指示を出していたのであった。

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